ドワンゴが11月28日に発表した動画サービス「niconico」の新バージョン 「く」(クレッシェンド)の機能内容を受け、ネットの反応は“大荒れ”だ。新ユーザーインタフェース「nicocas」を含め、新機能を盛り込んだバージョンだが、画質・読み込みの高速化は「完全には解決していない」(川上量生会長)という。都内で開いた発表会の模様をリアルタイム放送した番組では、「まずは画質、速度を改善してほしい」「基本がダメダメなのに機能追加」など厳しいコメントも目立つ。
同社は当初、10月に「く」の提供を始めるとしていた。しかし川上会長によれば「失敗できないサービスだと思い、機能内容、安定性を考えた上で開発が遅れた」という。公開は2018年2月28日を予定している。
PC/スマートフォン視聴時の画質とレスポンスは向上したが、(1)タイムシフト視聴とニコニコチャンネルの高画質化、(2)スマホアプリの高速化、(3)HTML5プレイヤーの高速化――などの課題は未解決で、「少なくとも半年間以内にほぼ全てが解決する」(川上会長)という。
川上会長は、そうした課題解決を進める一方、視聴・放送用の新ユーザーインタフェース「nicocas」を導入し、双方向機能、リアルタイム映像合成機能などを提供することで「(競合サービスと)違うところで勝負をする」との考えだ(関連記事)。
しかしユーザーからは批判的な声も出ている。特に目立つのは、新機能を提供する以前に、画質・読み込み速度の改善を求める意見。「さらに開発に半年間かかるのか」「根本的な課題の解決を優先してほしい」「ニコニコの文化をストレスフリーに楽しめる環境が整えば、ニコニコには未来がある」など、反応は冷ややかで、開発・運営するドワンゴ側とは“温度差”が出た。
競合サービスよりも優位なポイントは――そんな質問に対し、川上会長は「コメント機能のように、クリエイター(動画作成者、生放送をするユーザーなど)に対し、ユーザーからすぐにレスポンスが返ってくることが支持されるポイント」と話す。
「コメント機能を含め、クリエイターとリスナーがコミュニケーションできる機能を多く作っていきたい。新機能は『生放送』中心に見えてしまうかもしれないが、nicocasでは動画の再生もできる。『クルーズ』のような回遊機能も用意し、動画を楽しむ文化自体もてこ入れしたい」(川上会長)
放送終了後のユーザーアンケートでは、「発表会は良くなかった」が87%を占めた。収益の屋台骨である有料プレミアム会員数が減少する中、niconicoは成長を続けられるのか――。
【訂正:2017年11月28日23時59分更新 ※初出時、放送終了後のアンケートの内容を「『く』は失敗するか」としていましたが、正しくは発表会の内容を問うものでした。お詫びして訂正いたします】
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