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弥生が買収したクラウド請求管理「Misoca」、利用者倍増もシナジー効果はまだまだ?「NOKIZAL」決算ピックアップ

» 2018年01月16日 15時14分 公開
[NOKIZALITmedia]

 クラウド請求管理サービスのMisoca(愛知県名古屋市)が1月16日、官報に掲載した第7期決算公告(17年9月30日現在)によれば、純利益は2100万円(前年同期は1億300万円)、累積の利益や損失の指標となる利益剰余金は900万円(同1200万円の赤字)だった。

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 Misocaは2011年設立。請求書や見積書、納品書をオンラインで作成できるクラウド請求管理サービス「Misoca」を開発・運営する他、オンライン決済や回収保証サービスも提供している。16年2月に会計ソフト大手の弥生が買収。18年1月現在の登録事業者数は20万以上、月間請求総額は300億円以上となっている。

 買収後はサービス体系を基本無料から有料に、ログインも弥生IDのみに一本化している。

photo Misoca」公式サイトより

ここがポイント

 クラウド請求管理のFintech企業として弥生の傘下に入ったMisoca。今回の決算公告は黒字、利益剰余金の赤字も解消しており、まずまずといったところでしょうか。

 前回の決算公告(16年9月30日現在)では1億円の純利益を計上していたのですが、買収直後の前々回の決算公告(16年5月31日現在)では6500万円の赤字でした。前回の決算公告では、買収後の何らかの特別な会計処理があったのかもしれません。

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登録事業者数は買収後に倍増も、シナジー効果はまだまだ?

 有料化したMisocaの今後の業績を占う上で、気になるのは登録事業者数の推移。この数字について、もう少し掘り下げたいと思います。

 まず、現在の登録事業者数は20万超とのことですが、買収前の登録数は9万弱となっていたので、買収後に倍以上に増えました。これだけを見ると有料化後も順調に拡大しているといえそうですが、さらに見ておきたいのは連携かつ基盤となる親会社の弥生オンラインの数字です。

 14年11月、800億円でオリックス傘下に入った弥生。主力の弥生シリーズはユーザー登録数160万以上、販売本数シェア66%と、長年会計ソフト業界のトップに君臨しています。また、Fintechベンチャーのマネーフォワードfreeeが目立つクラウド会計ソフトの領域でも、17年3月時点のMM総研の調査結果によれば、確実にシェアを抑えている様子が分かります。

 一方、これは弥生に限らずですが、PCインストール型会計ソフトのクラウド移行は伸び悩みが続いており、上記調査ではインストール型の利用率77%に対し、クラウド型は13%にとどまります。仮に弥生シリーズの利用者数をこの比率に当てはめると20万強となり、これは現在のMisocaの登録事業者数ともイメージが合います。そう考えると、両サービスのシステム的な連携自体は問題なさそうですが、シナジー効果やクラウド型移行へのキラーコンテンツという意味では「まだまだこれから」といえそうですね。

Misocaの過去業績、他の企業情報は「NOKIZAL」で確認できます

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《著者紹介》

平野健児。新卒でWeb広告営業を経験後、Webを中心とした新規事業の立ち上げ請負業務で独立。WebサイトM&Aの「SiteStock」や無料家計簿アプリ「ReceReco」他、多数の新規事業の立ち上げ、運営に携わる。現在は株式会社Plainworksを創業し「NOKIZAL」を運営中。

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