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深センで最先端電子マネー 中華スマホサービス体験マニュアル茂田カツノリの「ギークシティ深センの遊び方」(4/4 ページ)

» 2018年01月29日 14時42分 公開
[茂田カツノリITmedia]
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モバイルバッテリーを借りよう

 ショッピングセンターなどに置いてあるモバイルバッテリーレンタル機も面白い。先にデポジットを支払い、返却時に返金される仕組みだ。容量はさほど大きくはないので、食事中に充電しすぐ返却するような使い方がよい。充電用の短いケーブルも購入できる。

 返却を忘れたまま一定期間が過ぎるとデポジットは没収され、バッテリーを購入したのと同じ扱いになる。ただし充電用電極がむき出しな専用バッテリーなのでもらっても仕方ないのだが。

photo バッテリーを借りるときは左のボタンをタッチし表示されるQRをスマホで読み取る。自分のバッテリーが出てくるとき、この機械の画面にも自分のアイコンが表示される。返却は右のボタンを押すと、返すべき場所の蓋が開く。ケーブルは、バッテリーレンタルと同時に購入すると割引きになる

Mobikeを利用しよう

 中国の街でとにかく便利なシェアサイクル。これも実は2016年末あたりから普及し始めたのだが、一気に広まった上で新規参入も相次ぎ、さらに多くの会社が倒産・撤退をして現時点では「Mobike」「Ofo」の2社にほぼ絞られている。シェア的に優勢なのはOfoだが、システム的にIoTシェアサイクルらしさが強いMobikeのほうをぜひ利用してみてほしい。

 Mobikeは札幌市に進出しているので日本で会員になることができ、そのまま中国で使える。日本のクレジットカードで支払えるので、出発前にアカウントを取得しておこう。デポジットとして3000円必要だが、帰国してから払い戻せばよい。利用料は30分0.5〜1元とタダ同然だ。

 あとは街中でMobikeをみつけてQRコードを読み込むだけ。電子機器製造の関係者なら、このようなシェアサイクルでIoTが実現していることに驚くだろう。省電力設計などがしっかりできていないと、このシステムは稼働させられない。

photo もちろん問題はあるのだが、とりあえずやってみてから考えるのが中国流。深センではおおむね黄色軍=Ofoが優勢、オレンジ軍=Mobikeも頑張っているが、青軍=bluegogoはこの写真を撮影した後に経営破綻してしまった

中国版Uberの「滴滴(Didi)」を使ってみよう

 スマホ決済体験におけるラスボス的な存在、それが中国版Uberの「滴滴(Didi)」だ。といってもアカウント作成自体は簡単で、以下のアプリをインストールし中国番号SMSで認証すればよい。支払いは、中国のサービスには珍しく国際クレジットカードが使えるから、それも登録しておこう。

滴滴(didi)iOS版

滴滴(didi)Android版

photo Didiの呼び方は、まず自分が乗車したい地点にポイントを置いた上で目的地を検索する。そのため行き先の中国語名をあらかじめコピーしてから検索するとよい。

 Didiのアプリは「出租車」つまり普通のタクシーを呼んだりレンタカーや運転代行を依頼する機能もあるが、一般人が自家用車で来てくれるUber的なサービスは「快車」だ。外国人の利用はまったく想定されていないのですべて中国語で、さらに呼んだ瞬間に運転手から電話がかかってくるので大変ビビる。

 じゃあ中国語のできない筆者がどう利用しているかというと、実は運転手とのチャット機能に定型文があり、その一番上が「GPSの位置にいるから早く来て」という意味らしい(笑)と聞いて、それを先制して送ると電話がかかってこないのだ。あとは漢字をデタラメに並べるとなんとなく通じる。

 「快車」には普通型と高級型とがあり、さらに普通型では「相乗りOK」を選ぶと遠回りにはなるが安くなる。実は筆者はこの「相乗り」が好きで、さまざまな人が乗り込んでくるのが妙にワクワクするのだ。

photo 中国語まったくわからない筆者だが、Didiはなんとか利用している

カラオケしよう

 日本ではカラオケをしない筆者も、深センに行くとついショッピングモールなどにあるカラオケボックスに入ってしまう。英語の歌は結構あるほか、一部日本語の歌もある。歌った結果の録音ファイルはWeChatに送られてきて、公開することもできる。すべて中国語なので適当に操作するしかないが、漢字が読めるのは日本人の大きなアドバンテージだ。

 このお手軽カラオケは日本でもぜひやってほしいものだが、現金決済では成り立たない種類のビジネスであることは確かなので、やはりスマホ決済のベースができたことの影響の大きさは感じざるを得ない。

photo WeChatと連携したカラオケボックスも街に広まってまだ1年経たないくらいだが、VR対応などどんどん進化しており、2カ月行かないと状況が変わってるのがいまの深センだ。

 こうした「スマホ決済が生み出したサービス」はどんどん増え続けていて、中国の人はこれらをしっかり活用している。スマホ利用の平均的リテラシーという点では日本より中国のほうが確実に上だと断言できるし、それも「より生活が便利に豊かになる方向」に活用していることは、素直に素晴らしいと感じる。

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