2月1日、日本国内の「eスポーツ」普及・発展を目指す新団体「日本eスポーツ連合」の設立が発表された。日本代表選手が海外大会に出場する際の経済的支援などが期待されるが、同団体が発行する「プロゲーマーライセンス」を疑問視する声が出ている。
日本eスポーツ連合が設立されることで、日本のeスポーツ界はどう変わるのか、変わらないのか。いま一度整理してみたい。
これまで日本国内のeスポーツ団体は、日本eスポーツ協会、s-sports促進機構、日本eスポーツ連盟の3団体があったが、日本オリンピック委員会(JOC)に加盟する条件(そのスポーツの国内唯一の代表団体であることなど)を満たせず、国際大会に日本選手を派遣できないという課題があった。3団体を統合し、日本eスポーツ連合を設立することで、JOCに加盟して日本選手の海外派遣を支援する考えだ。
岡村秀樹代表理事も「これまで以上に日本の選手が海外で活躍できるようになることが一番大きい」と話す。
選手育成の支援や地位向上などを進める上で肝になるのが、新団体が設ける「プロゲーマーライセンス制度」だ。プロライセンスの発行にあたり、同団体は「プロゲーマーの定義」「ライセンス発行条件」などを発表した。詳細は以下の通り。
15歳以上で義務教育課程を修了している人
20歳未満は保護者の同意が必要
13歳以上15歳未満でプロライセンス発行に値する人
高額ではない商品の獲得は可、賞金は不可
15歳に達した場合は本人と保護者の意思を確認してプロライセンスを発行
プロゲーマーの定義については、人格面・道徳面が強調されており、ネットでは「定義が曖昧で分かりにくい」という声も上がった。一方、プロゲーマーの条件としては成績が重視される形だ。その他、多かったのがプロ認定するタイトルの選定理由やプロライセンス制度自体を疑問視する声だ。
大会の賞金額やプロゲーマーの社会的地位の低さから、日本は欧米やアジア諸国と比べ“eスポーツ後進国”といわれてきた。家庭用ゲームやゲームセンター文化が主流で、PCゲームを中心とする海外大会の主力タイトルをプレイする土壌が育ってこなかったことや、景表法など法律的問題で高額賞金を出す大会を開催できなかったことなどが原因とされている。
日本eスポーツ連合は賞金付き大会の開催を示唆するが、賞金額や開催頻度、規模などの詳細は明らかにしていない。「法律的な問題をクリアにし、消費者庁などに安全確認しながら慎重に進めるべき」という指摘もあり、実際に高額賞金の大会を問題なく運営するには課題が残りそうだ。
プロライセンスは「連合が認定した大会」での「認定タイトルごとの発行」となるが、このタイトル選定基準に対しても「選定理由が不明確」「なぜ日本のスマホゲームを選んだのか」という声が上がっている。
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