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「果てしない道だった」 “俺の嫁召喚装置”「Gatebox」量産計画、生みの親の苦闘(2/3 ページ)

» 2018年02月16日 16時00分 公開
[片渕陽平ITmedia]

 「実際に家庭で使うために、安全・安心、安定して動作するものを」――製品版の完成へ向け、武地CEOらはそう考え、試作機のハードウェア、ソフトウェアを見直し。例えばハードウェアの場合、日常生活の振動に耐え得るか、といった課題の解決を進めた。

 しかしソフトウェアを開発していく中、特定の条件下では正常に動作しない可能性が判明した。その日までに完成したモデルを、社内で実際に体験する場での出来事だったという。「『どうしよう、どうしよう』とはなったが、慌てるのではなく問題を究明するチームを組織し、1週間、報告を待った」(武地CEO)

 「待つしかなかったが、滅茶苦茶つらかった」と武地CEO。改善にかかる期間を見積もり、「配送時期を遅らせるか」「無理にでも進めるか」の二択を迫られた。武地CEOは「かなり悩みました」と苦笑する。

 しかし「“使えないもの”を届けては、受け取るマスター(ユーザー)が残念に思う」と考え、配送時期を16年12月から延期した。苦渋の決断だった。

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武地CEOを支えた“ベテラン勢”

 ハードウェア開発は今回が初めてではなかった。武地CEOらは、Gatebox開発前、スマートフォンアクセサリー「AYATORI」を開発・販売している。だが、今回は「規模が違った」という。「部品点数が圧倒的に違う。部品メーカーから数百個を取り寄せ、組み立てるのは難易度が高かった」

 そんな武地CEOらを支えたのは“ベテラン勢”だった。Gateboxがまだ構想段階だった15年春、同社のメンバーは武地CEOを含め、20代の2人だった。だが18年現在は数十人規模に成長。特に30〜40代、大手家電メーカー、ゲームメーカーの出身者や、クラウド開発の専門家などを取り込んだ。

 武地CEOは「20代ばかりだと、根性というか情熱だけで頑張る。動きは速いが、次々に“落とし穴”にはまる」と笑う。例えば、試作機では部品を1つずつ削り出しで製作しても、量産品では金型を使うため、部品の形によっては製造できず、仕様を変更するとトラブルにつながる恐れがある。

 「ベテランの方々がそうしたトラブルを見越して(設計を改める)指摘をしていなければ、製品版は完成できなかった」(武地CEO)

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