トヨタは2月20日、レアアース(希土類元素)であるネオジムの使用量を大幅に削減し、高温の環境でも使用できる「省ネオジム耐熱磁石」を発表した。電気自動車(EV)やロボットなどでモーターの需要が増す中、レアアースの調達リスク低減に役立つという。
従来のネオジム磁石は、耐熱性を向上させるため、大量のネオジムに加えてレアアースの中でも希少なテルビウム(Tb)やディスプロシウム(Dy)を使用している。
新開発の磁石は、TbやDyを使わないだけでなく、ネオジムの一部をレアアースの中でも安価で豊富なランタン(La)とセリウム(Ce)に置き換えた。その上で磁石を構成する粒の微細化や、粒の表面の2層構造化により効率良くネオジムの保磁力を活用しつつ耐熱性を向上。さらにLaとCeを混ぜても磁石の特性を悪化させない“特定の配合比”を発見したという。
トヨタは「ネオジムを最大50%削減しても従来のネオジム磁石と同レベルの耐熱性能を持つ磁石を開発することができた」としている。
今後はEVやロボット、発電用モーターなど幅広い用途への応用を目指し、商品の適用評価や量産技術の開発を進める。レアアースが抱える地政学的な需給バランスの変動や価格上昇リスクの低減にも寄与するとしている。
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