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課金すると“推し”に高級肉が届く? 女性ファンの熱量をカロリーに変えるバンナムの動画配信サービス(2/2 ページ)

» 2018年03月14日 17時01分 公開
[村田朱梨ITmedia]
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女性の「キャラクターに対する熱量」が高まっている

 バンダイナムコエンターテインメントは、アンドキャストで動画配信サービスに本格参入する。桝井ゼネラルマネージャーは、「鶏と卵のような話だが、動画を始めようと思ったら女性ユーザーが大切だと思った。女性ユーザーを獲得しようと思ったら動画はゲームより間口が広いと感じた」と話す。加えて「エンターテインメントは、2次元と3次元がどんどん融合しているので、アンドキャストはその点も押さえていきたい」という。

 なぜ動画で女性ユーザーが大切になるのか。それは「女性のキャラクターに対する熱量が、ここ数年高まってきているから」(桝井ゼネラルマネージャー)という。

 これまでバンダイナムコの人気コンテンツといえば、「アイドルマスター」など男性ファンの多い作品だったが、近年は「アイドリッシュセブン」「アイドルマスター SideM」など女性人気の高い作品も増えている。ゲームそのものだと男性ファンが多い「テイルズ オブ」シリーズでも、イベント参加者は女性が多いという。

photo 男性ファンの多い「アイドルマスター」(公式サイトより)
photo 女性に人気の「アイドリッシュセブン」(上)と「アイドルマスター SideM」(下)(各公式サイトより)

 「一昔前はキャラクターを応援するユーザーは、アイドルファンの延長で男性のイメージが強かったが、女性ファンのキャラクターへの熱量は高い」(桝井ゼネラルマネージャー)

 もちろんアンドキャストは女性だけに向けたサービスではないが、「キャラクターと話したい、つながりたい女性ユーザー」の存在は番組を考えるにあたって念頭に置いていたという。

 サービス開始時に予定しているチャンネルは「シェアハウCHU!チャンネル」「テイルズ オブ アンバサダーチャンネル」「学園執事チャンネル」「エイトレイドチャンネル」「みきみこちゃんねる」の5本。

 毎日の「暇つぶし」というポジションを狙い、入浴前後や寝る前などに「あの子たち、何をしてるだろう」「あの人の配信ないかな?」――と視聴者に気に掛けてもらえるサービスを目指す。

 「仕事で疲れて帰ってきた女性が、イケメンが暮らしているのを眺めたり、執事にちやほやしてもらったり、画面越しに一緒に晩酌したり、ゲームでストレス発散したり……といったシチュエーションを考えている」(桝井ゼネラルマネージャー)

「ゲームの時間が動画に取られている」 後発の勝算は

 動画配信サービスは今や、YouTube、niconicoの他、LINE LIVESHOWROOMなどのライブ動画、インターネットテレビ局「Abema TV」など競合がひしめく。

 そんな状況下で参入する理由は「ゲームをしている時間が、動画に取られている」(桝井ゼネラルマネージャー)からだという。「ユーザーが動画を見る時間は増えていて、何かしなければと考えていた」

 後発での参入には、他サービスとの差別化が重要。そこで桝井ゼネラルマネージャーは、配信番組でも人でもなく「キャラクター」に目を向けた。同社の強みである、多くのファンを抱える人気IPやゲームビジネスのノウハウを動画と組み合わせ、「キャラクターとファンをつなげる。そこに勝ち目がある」と考えたという。

photo 「テイルズ オブ アンバサダーチャンネル」の配信イメージ。視聴者は配信をただ見るだけでなく、ゲームを通じて配信者とコミュニケーションも可能だ

 「声優やタレント自身にも魅力はあるが、IPと合わさると爆発的な力が出ると思う。キャラクターのファンはタレントのファンでもあるかもしれないが、作品や世界観も含めて好きになってくれている。それを軸に視聴者とコミュニケーションを取れるようなサービスにした」(桝井ゼネラルマネージャー)

 バンダイナムコエンターテインメントの大森大将アシスタントマネージャー(NE事業部 第3プロダクション プロデュース3課)によると「クエストの背景や登場するモンスターは番組ごとに違い、テイルズのチャンネルならテイルズの敵が出てくる」という。

 仕組みは同じでも、クエストをどんな位置付けにするかは番組によって異なる。それぞれのチャンネルで、番組やキャラクターに合わせた形で楽しめるという。アバターの着せ替えアイテムも、テイルズのチャンネルならテイルズ オブ シリーズのキャラクター衣装などを用意し、着用時にはより効果的な応援ができる仕組みを設ける予定だ。

 5本のチャンネルで運営ノウハウを蓄積し、今後は「バンダイナムコらしい、いろいろなIPを取り入れていく」(桝井ゼネラルマネージャー)。

 「実際に遊んでもらわないと分からないところも多い。時間をかけてユーザーとコミュニケーションを取りながら、アンドキャストの“文化”を作っていきたい」(桝井ゼネラルマネージャー)

photo 桝井ゼネラルマネージャー(左)と大森アシスタントマネージャー(右)
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