米Facebookの約5000万人の個人情報が、2016年の米大統領選でドナルド・トランプ候補(当時)陣営に不正に利用されていたと、米New York Timesと英Guardianが3月17日(現地時間)に報じ、波紋を呼んでいる。
Facebookは、これらの記事が掲載される前日に、ユーザーの個人情報を不正に第三者に売却したとしてケンブリッジ大学の心理学教授、アレクサンドル・コーガン博士と、データが不正なものと判明してからも削除しなかったトランプ陣営に協力したデータ解析企業Cambridge Analytica(CA)のFacebookアカウントを停止したと発表した。
New York Timesの報道は、CAの元幹部、クリストファー・ワイリー氏のインタビューに基づくもの(Facebookは同氏のアカウントも停止した)。CAは、トランプ氏の選挙対策本部のCEOを務めた保守系ニュースサイトBreitbart Newsの会長、スティーブン・バノン氏や共和党支持者から、「米国の投票者の行動に影響を与えられるツール」提供を条件に資金を受けたという。
そのためのデータとして、Facebookの5000万人分の個人情報をユーザーの許可を得ずに利用したとNew York Timesは報じた。
CAはNew York Timesに対し、個人情報の利用は認めたが、データはコーガン博士が経営する調査会社Global Science Researchから不正なものと知らずに購入したのであって、不正だと判明した2年前に削除したと語った。
Facebookは、5000万人の個人データはサイバー攻撃などで流出したのではなく、ユーザーの許可を得て集められたものだが、それを第三者に売却したことがポリシー違反だと説明する。コーガン氏は「thisisyourdigitallife」というFacebookアプリを公開し、このアプリの利用条件としてユーザー本人とその友達のデータを収集するとアプリの概要で明記していた。このアプリは約27万人がダウンロードし、そのアプリ経由でユーザーとその友達を合わせた5000万人分のデータをコーガン氏が入手した。
Facebookは2015年にコーガン氏によるポリシー違反を知ってアプリを削除し、コーガン氏、CA、ワイリー氏にデータを削除するよう要請したとしている。
同社は、「数日前、データが完全に削除されていなかったという報告を受けた」ので関係者のアカウントを停止したという。
CAもFacebookも、自らの行為は違法ではなかったとしている。コーガン氏およびGlobal Science Researchの公式サイトは現在、アクセスできなくなっている。Guardianによると、ロシア出身の同氏はFacebookユーザーの感情に関する研究でロシア政府から補助金を受けていたという。
米マサチューセッツ州司法長官、マウラ・ヒーリー氏は自身のTwitterで、FacebookとCAに関する調査を開始したとツイートした。エイミー・クロブチャー上院議員(ミネソタ州、民主党)は「(FacebookのCEO)マーク・ザッカーバーグ氏は上院司法委員会で証言すべきだ」とツイートした。
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