米テキサス州オースティンで開催された最先端テクノロジーの祭典「SXSW 2018」(3月9〜18日)で、米SpaceXのイーロン・マスクCEOが打ち上げに成功した大型ロケット「Falcon Heavy」のショートムービー「Falcon Heavy & Starman」が披露された。
この映像には、Falcon Heavyの打ち上げから2基のブースターがほぼ同時に着陸するシーンや、軌道を回るスターマン(Falcon Heavyで太陽の軌道に載せられている、Roadsterに乗った宇宙服を着たマネキン)の映像が映されており、多くの人の注目を集めた。
SpaceX社といえば、機体を回収して再使用する衛星打ち上げロケット「Falcon 9」の打ち上げを初めて成功させたことでも知られる。今では低コストのロケットを武器に、衛星市場で大きなシェアを獲得している。
そんなSpaceX社のFalcon 9による衛星打ち上げは、2018年の2Q中にも予定されている。そこで打ち上げるのが、ルクセンブルクの衛星通信会社SES社「SES-12」の人工衛星だ。SES-12はアジアパシフィック地域をカバー。ハイスループット衛星(HTS)と呼ばれる大容量通信衛星で、SESが展開するビデオ事業(世界で約7500チャンネルのテレビ放送を配信)、エンタープライズ事業(企業向けの支払いデータ通信など)、モビリティ事業(ケーブルがつなげない飛行機や船などの移動体にインフラを提供)、政府向け事業(米国国防総省など60以上の政府と取引。防衛や軍事、災害時や緊急避難時などの際の通信用途として)などの通信に役立てられるという。
例えば、アジアパシフィック地域で17年には約1000機だったネットに接続する航空機総数が、26年には5500機まで増えると予想されており、SES-12の打ち上げによってそういったニーズにも対応できるとしている。
SES-12はSES-10と同様に、再利用のFALCON 9ロケットで打ち上げる予定。通信用アンテナはオーストラリアに設置され、SES-12のオペレーションはルクセンブルクのSES本社で管理されるという。
筆者は、人工衛星「SES-12」を開発したルクセンブルクのSES本社を17年5月に訪問している。記事後半では、その際に訪ねたオペレーションセンターやアンテナなどの設備について写真で紹介していきたい。
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