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SpaceX、2018年に人工衛星「SES-12」打ち上げへ(3/3 ページ)

» 2018年03月29日 11時08分 公開
[太田智美ITmedia]
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SES-12 監視カメラも多く取り付けられている

SES-12 オペレーションセンターの外観

SES-12 オペレーションセンター入口

SES-12 周りには大量のアンテナがある

SES-12 本社では約450人が働いている。グローバルでは、合わせて2000人。売り上げは約20億ユーロ。従業員一人当たりの売り上げが非常に大きいという

SES-12 政府や大使館など、ケーブルを通して通信したくない場合に、衛星は最適の通信となる。このオペレーションセンターも外部とネットワークでつながっていないため、外部からハッキングして衛星をコントロールすることは不可能

SES-12

SES-12 受付

SES-12 SESはルクセンブルク政府の宇宙資源採掘に関わるSpaceresource.luの計画にも協力している。宇宙資源開発の基本的な考え方は、「月と地球の間の小惑星のレアメタルや水資源を採掘する」というもの。宇宙で採掘したものを地球に持って帰ることは想定しておらず、それらを使用して、宇宙で物を生産することを考えているという。例えば、衛星を宇宙で作れれば、ロケットで打ち上げる事は必要なくなる。惑星や月に輸送ステーションのようなものができ、鉄道網をイメージした輸送ルートができると想像している。

SES-12

SES-12

SES-12 地上から1000キロ離れているのが一般的な軌道で、ウェザーステーションや地球観測衛星がこの軌道を通っている。地上から8000キロの軌道では、SESだけが12基の衛星をオペレーションしており、ブロードバンド通信を提供している(O3bネットワークス)。そして約3万6000キロの軌道が静止衛星の軌道

SES-12

SES-12 ロケット打ち上げ時の振動はすさまじく、その場に人が居合わせると、泣きたくなるほどの衝撃を受けるという

SES-12 オペレーションセンター。パイロットとエンジニアが衛星をコントロールしている。40の衛星のコントロールを約400人で行っている。同様のオペレーションセンターは、地球の裏側半分をカバーするため、アメリカにもあるという

SES-12 オペレーションセンターの天井

SES-12 古くなった衛星は、リペアしたり燃料を再注入したりといったことができない。国連では、使用しなくなった衛星を特定の軌道にのせ、操作スイッチを切ることを定めているという

SES-12 ポジションやパワーなど数千のデータを常時アンテナで受け、オペレーターが修正などの指令を送っている。衛星は完全に止まっているわけではなく、太陽と月の引力の影響もあり、また、地球は完全な球体ではない。そのため、地球の位置によって重力などが微弱ながら異なる。こういった要素により、衛星は、少しずつ遠ざかる傾向があり、軌道に戻すための位置修正などが必要だという。例えば、衛星が軌道から1度ずれるだけで、欧州では通信領域の約700キロのずれにつながり、1億6500万世帯に影響がでる。若干ずれもアラートが送られ、オペレーションセンターでは(自動ではなく)マニュアルで人が調整している

SES-12 奥にボールのようなものが見える

SES-12 このボールは、災害時の持ち運び可能な通信セット。2010年のハイチの大地震が契機となり、大災害でも通信環境を整えられる機材を開発された。ボールは20分で膨らませられ、中にはアンテナやラップトップ、チューナーレシーバーなどがある。飛行機でハンドラゲッジとして持ち運び可能。このボールが5〜6個あれば、SESの通信衛星でカバーされている範囲れあれば、どこでもWi-Fi環境が作り出せるという。既に実用化されており、世界中で全部で7個待機している。なお、アジアではフィリピンにあるとのこと。2015年に起きたバヌアツの大地震でも使われたそうだ

SES-12

太田智美

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