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尿を分析してがんリスク判断 日立が実証実験

» 2018年04月17日 12時52分 公開
[ITmedia]

 日立製作所は4月16日、尿を使ったがん検査の実証実験を2018年4〜9月に行うと発表した。尿中の代謝物を分析してがんと関連性が高いとみられる物質(バイオマーカー)を効率よく抽出する検査モデルを開発。尿にバイオマーカーがどれだけ含まれているかを調べ、がんのリスクを判断し、結果の妥当性を検証する。

photo 実証実験の全体図

 尿に含まれる代謝物のうち、「液体クロマトグラフ/質量分析計」(LC/MS)という方法を使って高精度に測定できる約2000種の物質に注目。ここからバイオマーカーの候補を選び出す。

 バイオマーカー候補は、健常者とがん患者の尿を比べた時の差や、代謝物の重要度を評価する機械学習などを使って、数十種類に絞り込み、さらに診療情報や代謝経路など解析結果から数種類を抽出する。

 尿は、大学病院などからがんの有無などの臨床情報と合わせて回収する。GPSと温度情報を1分に1回送信する機能を備えた搬送ボックスを使い、マイナス温度や2〜8度、35〜37度などいくつかの温度帯で運ぶ。搬送時間や温度の影響を調査するという。

 日立は、15年から尿に含まれる代謝物を使ったがん研究を行っており、16年には尿を使った健常者とがん患者の識別に成功したと発表した。今回の実験を通じ、技術的な課題を洗い出し、実用化に向けた研究を進める。

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