疑似的に「うんこ」や「大腸」に触れる。ニコニコ超会議2018(千葉・幕張メッセ、4月28日〜29日)で、東北学院大学佐瀬研究室と日本うんこ学会、ケイズデザインラボがそんな触覚デバイスを展示している。
うんこツンツンは、2017年の東京ゲームショウで話題になった「ナマコの触覚VR」を開発した東北学院大学の佐瀬一弥講師と、3Dモデルの制作などを手掛けるケイズデザインラボ(東京都千代田区)が、大腸がんなどの予防を啓発する非営利団体の日本うんこ学会とコラボして制作した。
スカルプティング(粘土をこねるように3Dモデルを作成する)や手術の練習に用いられる触覚デバイスの先端部を指に固定することで、指でうんこをツンツンしたり、大腸の中に指を入れたりする感覚を疑似的に得られる。
触れるうんこは3種類。「バナナ状のうんこ」「泥状のうんこ」「カチコロのうんこ」だ。バナナ状のうんこは指で押してみるとむにむにとした感触で、泥状のうんこは水分量が多いこともあり、ほとんど抵抗なく指がすーっと通る。カチコロのうんこはいわゆる便秘のうんこで、押すとカツンカツンと硬い感触が分かる。うんこの感触は、ナマコVRを開発した時のデータを基に制作した。
大腸については、健康な大腸と、がんになって硬くなった大腸を触って比べられる。ナマコVRの際には木の棒を介してナマコを触っていたが、今回は指をデバイスに固定して触覚を得られるようにした。大腸の中に指を入れた時の感覚を知ってもらうためという。
健康な大腸に指を入れ、指を上下左右に動かすと緩やか弾力を感じられる。一方がんになった大腸は壁が厚くなっているため硬く、なかなか指を自由に動かせない。「日本うんこ学会に所属している大腸がんの先生に触ってもらい、好評価をいただいた」と佐瀬講師は胸を張る。
うんこを触るという行為を通して、「排せつ介護の嫌悪感を軽減できれば」と佐瀬講師。
「生活の中でうんこを触るという経験はなかなかない。しかし親など身内の介護が必要になった時に、排せつのケアもしていかなければいけない。触覚デバイスでうんこを触ってもらうことで、いざというときの心理的ハードルを下げられたら」(佐瀬講師)と将来の介護へ役立てたい思いがあることを語った。
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