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» 2018年05月19日 08時00分 公開

カシオがもたらしたデジカメの歴史を振り返る (2/4)

[荻窪圭,ITmedia]

カメラメーカー台頭によるQVの低迷期

 QV-10の予想外の成功はカシオにとって早すぎたのかもしれない。当然、カメラメーカー・家電メーカー各社も小型デジタルカメラの開発は進めていたわけで、追いかけるように1996年から7年にかけて富士フイルム、オリンパスを筆頭にソニー、コダック、リコーと多くのメーカーが35万画素のセンサーを搭載して参入。

 一気に群雄割拠となり、カシオも望遠レンズと切り替えて使える「QV-30」や、35万画素に画素数を上げた「QV-100」や「QV-300」と次々と投入するが、本職のカメラメーカーに比べると、あるいはデジタル化されたカメラを目指した各カメラメーカーとビジュアルコミュニケーションツールを目指したカシオの差といってもいいのだが、どうしても画質面で見劣りするのは否めなかった。

 それでも、光学ズームの時代になり、1999年には130万画素で8倍ズームレンズを搭載したQV-8000SXを投入するなど、レンズ回転式のQVシリーズは個性を発揮していた。

「QV-8000SX」(1999年発売)。8倍ズームレンズにしたためレンズ部が大きくなっている。

 2000年になるとキヤノンが「IXY Digital」を投入。コンパクトデジカメ市場が一気に動き出し、斬新で意欲的なデザインのカメラより四角くてコンサバな昔ながらのカメラっぽいカメラが主流になり、カシオにとってはつらい時代になる。

カード型「EXILIM」で息を吹き返すカシオ

 だがしかし、カシオがおとなしくしているわけがないのであった。

 2002年、何の前触れもなくまったく新しい製品が登場する。「ビジュアルコミュニケーション」の原点に立ち返った、「EXILIM S1」だ。

 ズーム倍率が上がり画素数が上がり、カメラとしての高性能を追求する製品が主流になる中、カシオは「ズームなし」「フォーカスは固定」、でも厚さは11.3ミリで重さは約100グラムでカードサイズというウェアラブルカメラを目指してきたのである。

 名刺入れに入れるかどうかはともかくとして、薄くてどのポケットにも入り、起動も撮影も速くてサクサク撮れるという、他社とはまったく異なったカメラの誕生である。

2002年5月。EXILIMの発表会会場にて、手のひらにすっぽりサイズだといいたかったらしい写真
EXILIM S1。2002年ワールドカップ時。札幌までイングランド線を見に行ったときのスナップ

 ここで原点に返ったといっていい。薄くて軽くてズームはないけどサクサク撮れるというので人気を博したわけである。

 EXILIMもこのあと時代の波に呑まれるように光学ズームレンズを搭載した「EXILIM Z」シリーズを出して定番コンデジとしての地位を得るに至るのであるが、2004年に出した超薄型光学ズームモデルの「EX-S100」は特筆すべき存在としておきたい。

2004年カシオの新製品発表会場にて

 さてEXILIMもいち早く液晶モニターを大型化し、バッテリー持続時間を大幅に伸ばし、高倍率ズーム化を経て、以前のような「カードサイズ」ではなくなったものの、EXILIMらしさを持つ普通のコンパクトデジカメとなっていき、それに伴ってQVシリーズも終了したわけだが、その辺は割愛。

 個人的には、バッテリー寿命を他社よりぐっと延ばしてきた(確か、500枚撮れる!ってのがウリだった気がする)のを評価したい。

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