ソニーネットワークコミュニケーションズは5月31日、これまではB2B市場向けに販売していたスマート照明「マルチファンクションライト」の一般販売を開始した。市場推定価格は5万9800円(オープン)。同時にAmazon Alexaに対応する機能アップデートも実施する。
マルチファンクションライトは、ソニーが2016年に発表した多機能照明器具だ。ドーナツ型の「LEDシーリングライト」と、その中心に合体させる「マルチファンクションユニット」で構成される。マルチファンクションユニットにはWi-Fiなどの通信機能、家電を操作するための赤外線送出部、各種センサー、マイク、スピーカーなどを搭載している。スマートフォンアプリ「MF light」で照明、テレビ、エアコンを操作できる他、スマートフォンなどからの音楽再生(Wi-Fi/DLNA)、ボイスメッセージなど多彩な機能を備えている。
マルチファンクションライトの開発者で、現在はソニーネットワークコミュニケーションズに籍を置く横沢信幸氏(IoT事業部門 事業推進部 L-Gadget課 課長、工学博士)は、一般販売を行う理由について、「スマートスピーカーの登場によりスマート家電に対する一般の認知度が向上し、『何ができるのか』を理解してもらえるようになった」と話す。当初はAmazon.co.jpなど一部オンライン販売のみだが、いずれ量販店の店頭にも並べる方針。「量販店にあるスマートスピーカーのデモブースなどを活用し、一緒に訴求していく」という。
基本的にはB2B向け商材だったマルチファンクションライトだが、テストマーケティングとして一度だけ市販されたことがある。16年にソフトバンクのクラウドファンディングサイト「+Style」と協業し、オンライン限定で一般ユーザーにも販売した。横沢氏は「その際に寄せられたユーザーの声を反映し、機能ロードマップを変更した」という。
17年7月には内蔵の温湿度センサーを活用し、室内環境のモニタリング機能を追加した。室内が暑くなると「温度が高くなっています」と音声で注意を促し、熱中症を予防する。またペットが留守番中の室温変化を把握できるよう、スマートフォンアプリでは温度や湿度の変化をグラフで確認できるようにした。これにより、ペット飼育可の単身者用IoTマンション、高齢者向けの物件などに導入されるケースが増えたという。「ワンルームに付加価値を“後付け”できることが大きい」(横沢氏)
今回のスマートスピーカー対応も市場のニーズに合わせたアップデートだ。5月31日からAlexaスキル「MF light」を提供。「Echo」シリーズなどAlexa対応デバイスに話しかけて照明やテレビ、エアコンの操作が可能になる。「Googleアシスタント」についても「近いうちに対応する」という。
市販にあたり、LEDシーリングライトのバリーションも増やす。セットモデルに含まれるライトは、ソニー時代に東芝ライテックと協力して開発したもので、8畳までの部屋に対応している。今後はより広いリビングルームなどへの導入も想定し、複数の電機メーカーと協業する考えだ。
第1弾として同日発表したオリオン電機の「LGTC-20」は、12畳まで対応したLEDシーリングライト。電球色(2700ケルビン)から白色(6500ケルビン)までの調色と調光に対応。マルチファンクションユニットの単品販売(型番はLGTG-100/WHC J1、3万円程度)と組み合わせて使用できる。
「われわれの強みはネットワークやクラウド。それを持たないメーカーに提供して市場を拡大したい。オリオン電機の他にも数社と話をしている。18年内までに他にも製品が出てくるのではないか」(横沢氏)
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