僕がポートレート撮影で、気に入っているカメラの機能に「クロップ」があります。主にフルサイズのカメラに搭載されている機能で、APS-Cサイズなど少し狭い画角で切り取って撮影する機能です。「カメラの性能を使い切っていない」などといわれ、あまり好んで使われている機能ではないように思います。
しかし、ポートレート撮影はモデルさんという「パートナー」がいます。画角を変えるためにレンズを取り換えるのではなく、クロップ機能を使うことで素早く済ませれば、撮影を中断することなく、テンポ良く撮影を行えます。標準・単焦点のレンズでクロップをすれば、同時に中望遠レンズとしても撮影を楽しめるというわけです。
ポートレート撮影時、僕はズームレンズを使いません。選択する画角の数を減らして構図を考えることに集中したいためです。それに、単焦点レンズならカメラが気軽なサイズと重さに収まるのもメリットです。なお、クロップすれば換算の開放F値が変わるため、被写界深度にも影響しますが、同時に画角も変化するため、あまり気にするほどではないと思います。
実は筆者(@ra1ch1)は、しばらく広角レンズ(35mm)と中望遠レンズ(85mm)の2本だけでポートレート撮影を済ませてきて、長らく標準レンズに触れてきませんでした。しかし先日、645Z用の標準レンズを手にし、異様な使いやすさに気が付いたのでした。人物撮影であればほとんどレンズ交換をせずになんでも撮れるので「なぜもっと早く選ばなかったんだ」と後悔するほど。標準レンズを使っていると、広角も望遠も、ちょっとした特殊効果みたいに思えてきます。
当然、使いやすい画角や、写りへのこだわりは人それぞれあって良いと思います。中望遠では撮りこなしができないと言いたい訳ではありません。しかし、人物写真・ポートレート撮影を行うたくさんの方に、もっといろいろなレンズを選びを楽しんでほしいと思います。どんなレンズを選ぶにせよ、本稿がその契機になればうれしいです。
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