カーレルCEOはVeriffの創業前に海外送金サービス「TransferWise」に在籍していた経験があり、その際にVeriffを着想したという。
カーレルCEOによると、開発した目的は「本人確認の最新技術を中小企業も導入できるようにすること」という。ソフトウェアの開発や導入に掛かる巨額の費用を賄えない中小企業に向けたサービスで、将来カード決済「Stripe」の本人確認版になることを目指しているという。
16年6月にローンチされたVeriffは、それと同時にエストニアで展開される金融サービス「Inbank」と同国のECサイト「Hansapost」に導入された。現在はエストニア国内だけでなく、世界中で40を超える企業がVeriffを利用しており、業界も金融サービス、EC、マーケットプレース、シェアリングエコノミーなど広がりつつある。
今年初めには、米国・カリフォルニア州に拠点を置くベンチャーキャピタル Y Combinatorが開催する、選ばれたスタートアップだけが投資を受けて参加できる3カ月間のスクール「Y Combinator Winter Class 2018」を卒業。
そして、このほど770万米ドルの資金調達に成功。この資金で、VeriffのSaas型サービスに改良を加える他、米国への進出を予定している。まずはセールスとマーケティングのオペレーション部門を、現在拠点としているタリンから米国へと移すのだという。
米国の金融コンサルタント企業Javelin Strategy & Researchが今年2月に発表した「2018 Identity Fraud Study」によると、同国では17年に1670万人がIDの盗難被害に遭った。また、IDカードの偽造技術が高度化し、人間の目では偽物と判断が到底つかないまでになっているという。
こうした背景から、「本人確認」はテクノロジーが進歩した現在でも大きな課題の1つとなっている。オンライン化が進む現在では、より信頼できる本人確認手段が求められているといえる。
Veriffが中小企業をターゲットとして開発された理由は、前述の通り、オンラインでの本人確認技術の導入が高額でハードルが高いことが挙げられる。しかし、その根底にはスタートアップの数の増加があるだろう。
近年では金融サービスを扱うFintechスタートアップが数多く登場し、Veriffのような小規模の企業が手軽に導入できるオンラインでの本人確認技術の需要は今後高まっていくのではないだろうか。
ID盗難被害の増加と偽造技術の高度化、そしてスタートアップの増加。時代の流れとそれに伴う需要をうまく見いだしたVeriff。いつか日本企業にも導入され、私たちの生活がさらに便利になるのではないだろうか。今後のビジネス拡大に期待したい。
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