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「Fate/Grand Order」のガチャは、なぜ“よく回る”のか? マスターの1人として考えてみた「NOKIZAL」決算ピックアップ(番外編)(3/4 ページ)

» 2018年07月14日 10時00分 公開

(3)緩いソーシャル性を活用したガチャのプロモーション

photo 人気サーヴァントの「マーリン」

 ランキング制やギルド戦がなく、さほど他プレイヤーを意識しない設計になっているFGOですが、唯一他プレイヤーと接触する機会が「サポート枠」を使うときです。FGOのバトルは、原則としてサーヴァント6体のチームを編成して戦いますが、そのうち1体はサポート枠として他プレイヤーから借りることができます。その際、能力が優れたサーヴァントを借りることが多く、必然的に他プレイヤーが有料ガチャで入手したであろうサーヴァントを“疑似使用”することになります。

 そうした経験を繰り返していく中で、特定のキャラを入手できる確率が高くなる期間限定のガチャ「召喚ピックアップ」があると、「もしかしたら、いつもは借りているあのキャラが手に入るかもしれない」と考え、積極的にガチャを回すユーザーもいるでしょう。

 歌手の安室奈美恵さんが引退を発表した17年9月20日。この衝撃的なニュースを抑え、Twitterのトレンドでトップに君臨し続けた“謎の人物”「マーリン」が話題を呼びました。このマーリンは、FGOに登場する強力なサーヴァントの1人。当日はマーリンの召喚ピックアップが行われていました。“遠くのヒロイン”安室奈美恵さんよりも、“身近なヒーロー”マーリンが自分のところにも来るかもしれない……ということでしょうか。熱量を感じるエピソードかと思います。

 18年6月中旬から開催されたゲーム内イベント「ぐだぐだ帝都聖杯奇譚」では、「沖田総司(オルタ)」や「岡田以蔵」といった新キャラクターが有料ガチャに登場。FGOは、App Storeの売上ランキングでも上位を獲得していました。

 いまやスマホゲームの月間売上首位ともなると、100億円にも達します。人気キャラ「安室透」を擁し、「名探偵コナン」シリーズでは過去最高の興行収入を記録した映画「名探偵コナン ゼロの執行人」(18年4月公開)の目標が100億円だったことを考えると、そのインパクトのすごさが分かります。

photo 「ぐだぐだ帝都聖杯奇譚」で登場した「沖田総司(オルタ)」

絶好調のFGOに“抑止力”は必要?

 キャラへの愛着という観点でFGOのガチャを考察してみましたが、もちろん、FGOのマスコットキャラ「ぐだ子」のように、単純にガチャを回すことが好きな人もいるでしょう。結局、ガチャを回す理由は人それぞれだとは思います。私は子どものころ、数千円〜1万円もするファミコンやスーパーファミコンのゲームソフトを、必死にお小遣いをためて買っていた世代です。FGOの場合は「これだけ長時間遊ばせてもらっては悪い」と思い、チップ感覚で少額のアイテムを購入することもあります。

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