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» 2018年08月06日 08時00分 公開

「個別の11人事件」は現実に起こせるか 「攻殻機動隊S.A.C. 2nd GIG」のゾクっとする話アニメに潜むサイバー攻撃(3/7 ページ)

[文月涼,ITmedia]

F: 今年4月23日、カナダのトロントで群衆に向けてバンが暴走し、意図的に歩行者をはね、10人が死亡、15人が負傷する事件がありました。犯人の名はアレク・ミナシアン、22歳。彼は犯行前にFacebookに「インセルの反抗はここに始まれり! われわれは全てのチャドとスティシーを打倒する。至高なる紳士! エリオット・ロジャー万歳!」という声明を投稿していました。

 インセルとはInvoluntary celibateの略で、「不本意なる禁欲主義者」の意。つまり本人の意志とは関係なく女性に相手されないおそらく童貞の男性を意味します。チャドとスティシーは、恐れずにネットスラングに置き換えれば、「女性に不自由しない『イケメン』」と「よく遊んでいる女性を指す蔑称」のこと。そしてエリオット・ロジャーは、(自らをインセルだとは名乗りませんでしたが)似たような境遇にあり、2014年5月23日、カリフォルニア州で銃乱射事件を起こし6人を殺害、13人を負傷させた上で自殺した、当時22歳の男性です。米国ではこういったインセルの男性のよりどころとして、ネット上に掲示板が存在し、そこでは過激な発言を含めさまざまなやりとりが行われています。

K: この2つの事件が似ているということですか? 海外ではありますが、時系列を考えると作品をモチーフにしていると? でもトロントの場合は、当然ウイルスが原因ではないわけですし、自らの意志で事件を起こしたと考えるべきなのでは?

F: そうですね。モチーフではありませんし、事実、人間はコンピュータウイルスには感染しませんので、それで事件を起こさせることはできません。しかしミナシアンの事件を報じたBBCの記事には、別のインセルの人によるこんなコメントがあります。

 「インセルの掲示板で怒りの感情に火を付ける扇動者がいる。彼らは反動的な運動に向かわせることが多い。一番多いのはオルト・ライトの運動だ」

photo (c)士郎正宗・Production I.G/講談社・攻殻機動隊製作委員会

 この「掲示板で煽る」というのは日本でもよく見かける現象ですし、その結果、発火した人物が事件を起こし得るというのは過去の事例を見ても考え得るでしょう。つまり、ネットを母体として「個別の11人」のような事件は、起こり得ないわけではない。だとすれば、それは意図を持った攻撃として行い得るか否か、ということを考えねばなりません。

 もし意図した攻撃だったとしたら、その目的は何でしょうか。

ゴーダがたくらむ攻撃の本質は何か

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