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「個別の11人事件」は現実に起こせるか 「攻殻機動隊S.A.C. 2nd GIG」のゾクっとする話アニメに潜むサイバー攻撃(1/7 ページ)

» 2018年08月06日 08時00分 公開
[文月涼ITmedia]

連載:アニメに潜むサイバー攻撃

サイバー攻撃は、時代に合わせ、攻撃の対象や手口が変化してきました。しかし近未来の世界、最新技術へのセキュリティ対策はイメージしにくい部分もあります。そこで、そう遠くない未来、現実化しそうなアニメのワンシーンをヒントに、セキュリティにもアニメにも詳しい内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)の文月涼さん(上席サイバーセキュリティ分析官)が対策を解説します。第3回のテーマは「攻殻機動隊S.A.C. 2nd GIG」です。

photo (c)士郎正宗・Production I.G/講談社・攻殻機動隊製作委員会

文月(以下F): 役人とは……。

ITmedia NEWS編集K: 役人とは?

F: 国民の血税で国家の運営を任されている公僕です。だからこそ常に中立であり、いわゆる政治のゾーンに関する発言をするべきではありません。

K: なるほど。

F: それは役人のルールでもあり、矜持(きょうじ)でもあります。ですので今回話す内容がそれに類するものに見えても、あくまでも国家というシステムにおける脆弱性や、あるいはどうすれば国家を攻撃できるかに関する思考実験だと思ってください。

K: どうしてまた急に?

F: だってええ! 攻殻機動隊はどこを取り上げたって、官邸やら政治家やら自衛軍を題材にした“地雷原”じゃないですかー! そこに突入して「無傷で帰ってこい」とか、それどんな無理ゲー!? 記事で「××長官が黒幕です!」なんて書いたら、誰かがそこだけを切り取って「文月がこんなこと言っていましたよ!」なんてご注進すれば、僕の役人人生はおしまいですよ! 来月から連載書けませんよ!

K: 心からご無事をお祈りしております。

F: 祈るだけかよっ!

著者紹介:文月涼(ふづき・りょう)

大阪市立大学卒。日産自動車就職後フリーライター・カメラマンに。デジタルカメラに関する記事を執筆するが「あまりに辛辣な記事を書くため、さまざまな事情で引退」(本人談)。その後、内閣官房内閣広報室、内閣サイバーセキュリティセンターに勤務。「国民の皆さまにサイバーセキュリティに関する興味をもってもらうためには『何でもする!』をモットーに連載しているので、登場する本人のキャラクター像は意図的にかなり大変ものすごく脚色されています。あしからずご了承ください」


(編集部注)以下、ストーリーの核心に迫るネタバレを含みます。ご注意ください。

「かくいう私も童貞でね」はギャグでは済まない?

photo (c)士郎正宗・Production I.G/講談社・攻殻機動隊製作委員会

K: 今回のテーマは「攻殻機動隊S.A.C. 2nd GIG」です。「攻殻機動隊S.A.C.」シリーズの中でも、文月さんがこの作品をチョイスされたのはなぜですか?

F: どれを取り上げようか悩んだんですが、先日起きたとある事件のことが気になり、2nd GIGにしました。

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