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「カメラを止めるな!」“パクリ疑惑”に公式が反論 「強く憤りを感じる」

» 2018年08月21日 20時08分 公開
[ITmedia]

 映画「カメラを止めるな!」は私の作品をパクった――8月21日発売の週刊誌「FLASH」9月4日号が“原作者”だという和田亮一氏の主張を報じ、ネット上で波紋を呼んでいる。映画を製作したENBUゼミナールは21日午後、公式サイトで「記事の見出しに掲載されているような、法的に『著作権侵害』が生じていたり、『パクった』という事実は一切ございません」と反論し、「強く憤りを感じる」と批判した。

photo 「カメラを止めるな!」公式サイトより

「原作」か「原案」か

 FLASHによれば、カメラを止めるな!は、和田氏の演出した舞台「GHOST IN THE BOX!」を基に、上田慎一郎監督が作成したという。2014年に和田氏の劇団「PEACE」が解散し、15年に上田監督が舞台の脚本を担当したA氏、親交があった元劇団員B氏と、GHOST IN THE BOX!の映画化に取り掛かったが、プロジェクトが頓挫。しかし16年、上田監督が権限を持たないB氏に連絡し、大幅にA氏の脚本を書き直して「自分のオリジナルストーリーと主張」したが、「構成や大まかな設定部分はそのまま」(いずれも和田氏の発言)だった――などと報じた。

 同誌は、クレジットに原作の表記や劇団名、作品名が入っていないこと、和田氏が著作権を侵害されたとして訴訟の準備を進めていること――なども伝えた。大ヒット映画を巡る報道に、ネット上ではさまざまな臆測が飛び交っている。

 21日午前、和田氏はTwitter上で「(同誌の記事には)怒りの告発とありますが、決して怒っているわけではありません」としながらも、note上で経緯を説明。和田氏は映画製作側に対し、クレジットに原作として「劇団PEACE『GHOST IN THE BOX!』(作:A 演出:和田亮一)」と入れるよう伝えたが、当初のプロジェクトが途中で頓挫したこと、最終的には全く別物になったため「原作」と入れることは難しいと回答があったという。

 その後、映画のプロデューサーに直接会い、妥協案としてひとまず「原案」として劇団名、作品名を入れることになったが、和田氏は「でも僕は、ただ、『原作』と入れて欲しかったんです」と主張。原案は「作品を作るに当たって参考にしたアイデア」、原作は「その作品を作るための元の作品」だと違いを説明している。

 その上で、和田氏は「みんなで何カ月もかけて稽古したり、バイトとの両立で眠かったり理不尽なことに怒ったり集客うまくいかなくてイライラしたり、本番は楽しかったりなあの日々が、あの作品が軽く扱われ、さらには今、『オリジナルストーリー』として世の中に出ているのが本当に許せません」と訴えた。

 和田氏は「映画は本当に面白いです」「大好きだった、命かけてたあの作品を生まれ変えてたくさんの人に見せてくれている」と感謝しつつも、「だからといって泣き寝入りだけはしたくありません」としている。

映画製作側は「記事は不正確なもの」「強く憤りを感じる」

 一方、カメラを止めるな!を製作したENBUゼミナールは21日午後、公式サイトで「(FLASHの記事は)不正確なものです」と反論した。上田監督が和田氏の舞台に着想を得て映画を企画・製作したことは認めており、敬意を表す意味で「原案:劇団PEACE『GHOST IN THE BOX!』」というクレジット表記を提案したという。

 だが「映画は上田監督自身による脚本、監督、編集というように、舞台とは独自の形で進め、ストーリーは舞台とは全く別物である上、脚本の内容も異なる」とし、FLASHが報じた著作権侵害や「パクった」という事実はないと強調した。

 ENBUゼミナールによれば、舞台関係者とは都度協議を行っており、クレジットを含めたその他の条件、今後の対応について「協議を進めようとしていた」という。そうした中、FLASHがセンセーショナルな見出しや、確定していない舞台関係者との協議過程の内容を含む記事を掲載したとして「強く憤りを感じる」と批判している。

photo 「カメラを止めるな!」公式サイトより

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