手を振る、表情を変える、歩く、歌う──などキャラを動かすためのモーションキャプチャーには、HTC ViveなどのVR機器を利用する方法や、マーカー付きボディースーツを着た人の動きをカメラで撮影する光学式モーションキャプチャーを使う方法などいくつか選択肢がある。
岩城さんは「これを選べば良いという“銀の弾丸”はなく、どれも一長一短。手軽さと正確性、もしくはコストと安定性のトレードオフなので、場面によって適したものを選ぶべき」と説明する。
例えばHTC ViveなどのVR機器は安価だが、トラッカーなどワイヤレス周辺機器のバッテリー管理が煩わしく大規模なイベントには向かない。光学式は舞台でも使いやすく演者への負担も比較的少ないが、設営や機材準備が大変でコストも掛かる。
表情の変更については、演者の顔をキャプチャーして画像処理しても多彩な表情を持つアニメ調キャラにはそのまま適用できないため「(アニメ調キャラなら)コントローラーのボタンで操作するのが現状は最適解」という。演者が歌や演技なども行う場合は、表情の変更まで手が回らないことがあるため、外部オペレーターによる操作も推奨している。口の動きは、音声から自動生成するリップシンクの「ほぼ一択」(岩城さん)。
ディスプレイは先に述べたように、通常のディスプレイを使う他に、透過スクリーン+プロジェクターや透過有機ELディスプレイを使う方法などがある。
岩城さんは「あらゆる技術はキャラを“表示する”のではなく、そこに“存在する”キャラを感じ取れるようにするための手段」と話す。等身大で登場するのか、ディテールを見せることにこだわるのか、キャラの登場と退出の演出はどうするのか、などを現場の条件と照らし合わせてどの技術を採用するか判断する。
「現実世界に存在する設定のキャラが登場するときに、キラキラしたパーティクルが出てくるのはおかしい。世界観をどう作るかを考えなければいけない」(岩城さん)
キャラの世界観を作るには、演者との意思疎通も欠かせない。
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