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「イベント会場は魔物」 ドワンゴが語る、バーチャルキャラをリアルに“召喚”する方法とその注意点(3/3 ページ)

» 2018年08月27日 13時37分 公開
[村上万純ITmedia]
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 声と動きは同じ人が演じるのか、分担する場合の意思疎通はどうするか、表情は誰が操作するのかなど、考慮すべき点は多い。特に、舞台監督や進行が演者にどう指示を出すかといった「意思が流れる経路」を意識することが重要という。

ドワンゴ 演者との意思疎通はどうするか

 指示系統の管理以外に、演者が演じやすい環境もしっかり整える。「演者がキャラの動きや会場の様子を確認できるディスプレイを現場に用意する。演者が混乱しないよう、必要に応じて左右反転(鏡表示)表示できる準備もする」(岩城さん)

「プロに任せよう」

 用意周到に取り掛かっても、予期せぬトラブルが起きるのがイベントの難しいところ。岩城さんも苦い表情でこれまでのトラブルを振り返る。

 例えば、赤外線式のトラッキング機材を使った際は日差しなどで正しく動作しないことがあったという。Wi-FiやBluetoothなどの無線通信では、「2.4GHz帯はまずつながらないと思った方がいい。5GHzも最近は結構混んでいる」と話し、会場でも大きくうなずく来場客が目立った。ケーブル類も、台車が通るときに抜けたり断線したりすることが少なくないようだ。

 「観客に気付かれなければそれはトラブルではない。バックアッププランを必ず用意してほしい」(岩城さん)

ドワンゴ 人気VTuber「にじさんじ」のキャラとラジオ番組をしたことも。
ドワンゴ 透過有機ELディスプレイは裏側から透けて見えるので、演者が「正しく自分から見た視点」を得られる

 岩城さんは「餅は餅屋」とし、「映像、音響、照明、ステージ進行などそれぞれ専門職のプロがいるので、エンジニア視点で思うことがあっても大抵はプロに任せた方がいい」と話す。「演出や構成でどうしても譲れない一線だけを決め、あとは何をしたいか、何が必要かの情報を不足なく伝える努力をしよう」と続けた。

 ドワンゴは、3Dキャラクターのファイルフォーマット「VRM」を提供している。今後はVRMを活用し、イベント現場で使える汎用的な演出基盤としてバーチャルキャストを利用できる環境を整えていくという。

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