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「20年前、孫社長の誘いを断った」 豊田社長が語る、トヨタがソフトバンクと手を組んだ理由(1/2 ページ)

» 2018年10月05日 17時05分 公開
[山口恵祐ITmedia]

 「私と友山係長(現副社長)の2人で孫社長のところに出向き、お断りしたことを今でもはっきり覚えている」──トヨタ自動車の豊田章男社長は10月4日、ソフトバンクと共同で設立するモビリティーの新会社「MONET Technologies」(モネ テクノロジーズ、MONET)の発表会で、ソフトバンクグループの孫正義社長との出会いや、提携に至った理由を説明した。

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 豊田社長が孫社長と初めて出会ったのは1990年代後半のこと。ちょうど国内でインターネットが普及し始めた頃で、当時は豊田社長は課長、友山茂樹副社長は係長だった。2人は全国のトヨタ販売店で中古車のネット商談を行えるシステム「GAZOO.com」を立ち上げ、その範囲を新車に拡大しようと全国を飛び回っていた。

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 その矢先、孫社長から「インターネットを利用した米国の新車販売システムを導入しないか」と提案があったという。豊田社長は「GAZOOに全てを賭けていた私たちからすれば、あり得ない話だった」と振り返る。

 「今でこそ社長と副社長になったが、当時は血気盛んな課長と係長だった。孫社長には大目に見てもらっていた面もあっただろう。こうした経緯から、『ソフトバンクとトヨタの相性は悪い』といううわさもあったようだ」(豊田社長)

photo 会場で豊田社長は「ヤフーで豊田章男と検索すると、しかめっ面ばかりの私が出てくる。笑顔が多い孫社長とは大違い。このアルゴリズムはなんとかしてほしい!」とジョークを飛ばしていた

なぜトヨタはソフトバンクと手を組んだのか

photo トヨタ自動車の豊田章男社長

 トヨタは今年1月、米ラスベガスで行われた世界最大規模のテクノロジー展示会「CES 2018」で、自動車メーカーから、モビリティーに関するあらゆるサービスを提供する「モビリティーカンパニー」に生まれ変わることを宣言していた。

 豊田社長は、未来のモビリティー社会を形成するためには「仲間」という概念が必要だと強調する。同社の戦略には3つのポイントがあるという。

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