今年のMade by Googleイベントは、いろいろと違和感が残りました。ちなみに先週のこの連載で予想した「Pixelbook 2」が出なかったことと、サードパーティ製スマートウォッチが紹介されなかったことは、いずれも希望的観測だったのでそれほど違和感はないのですが。
違和感を列記してみます。
最初の2つはペアなのかなと思います。過去2回はイベントの最初に登場したピチャイさんですが、もし今回も登壇していたら、バグをこっそり修正して公表しなかったことについて触れずに終わらせるのは、とても難しかったでしょう。
「これらのハードウェアでは、あなたが提供してくれる個人情報に基づいてうちのAIがパーソナライズした便利な機能を使えます」という話をする前に、「わずか50万人分なんだけど、実は個人情報が漏れちゃう可能性のあるバグがあったんですよ。あ、実際には漏れてないし、すぐに修正したんですけどね」と言ったらイベント全体が台無しです(それでも何か言ってほしかったですが)。
3つ目のChromecastは、これもGoogle製(Made by Google)ではありますが、イベントのテーマである「AI+Software+Hardware」という観点から、AIが関係ない製品ということで外したのかなと思います。
4つ目については、9TO5Googleの記事を読むまで、なんだか変な感じがしていたのが何だったのか自分でも気づきませんでした。言われてみれば、「Pixel Slate」を紹介するときに、「Google Playストアの何百万点ものアプリが使えますよ」とは言いましたが「Androidアプリが」とは言わなかった。
「Pixel 3」の紹介の間も、1度もAndroidという単語を出さなかったんです。これはもう、不自然なくらいに。「Android 9 Pie」とも言わなかった。
今年の開発者向け年次カンファレンス「Google I/O」では、Androidという単語はたくさん出てきました。というか、Android OS上のアプリを開発する皆さんのためのイベントですから、当然です。
一方、Made by Googleイベントは私たちコンシューマー向けのイベントです。Pixel 3はAndroid OS搭載製品だけれど、表面からはAndroidが見えないようにしたいのかな、という印象を受けました。
ちなみに、Pixel SlateのOSは「Chrome OS」で、Google Home HubのOSはどうやら「Fuchsia」のようです。
思えば、Googleさんは少しずつ、Androidというブランドを減らしてきました。「Android Market」が「Google Play Store」になったのは2012年のことですが、今年に入って「Android Pay」は「Google Pay」に、「Android Wear」は「Wear OS by Google」に名称変更されました。
そして、2017年に「メッセンジャー」から「Androidメッセージ」に変わったAndroidアプリの名称は「メッセージ」に変わっています(以前から端末上では「メッセージ」と表示されていましたが、アプリストアでAndroidがとれたのは最近です)。
「Android One」はさすがにGoogle Oneにはならなそうです。だって「Google One」はもうあるので。
次は「Android Auto」が「Auto by Google」になったりして。
一時期はChrome OSがなくなってオリジナルノートPCのOSもAndroidになるんじゃないかといううわさもありましたが、この分だと逆の可能性もありそうです。
Googleさんはこういうことは外に向かって説明しないので、真相は分かりません。「AndroidスマートフォンってiPhoneが高くて買えない人が買うんでしょ」というイメージを払拭したいのかもしれません(だから低価格なAndroid Oneはこのままかも)。実際、Pixel 3の128GBモデルは10万円超えるので、「Android端末なのに高ーい」というツイートをたくさん見ました。
OSの名称はさすがに簡単には変えられないと思うので、Androidが完全に消滅することはないでしょうけれど、絶対ないとは言えない。ああ、Googleの本社キャンパスに林立しているドロイド君たちが撤去されちゃったらさみしいなぁ。
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