「漫画村の運営者情報が開示されたのは良いニュース。だが、海外の違法サイトにはブロッキングが必要」――海賊版サイト対策としてのブロッキングの是非を巡り、カドカワの川上量生社長や国際大学GLOCOM客員研究員の楠正憲さんらが、10月12日に放送されたインターネット番組「AbemaPrime」で議論した。
冒頭の言葉は、ブロッキングを容認する川上社長の意見。楠さんは「犯人を捕まえるのが本筋。民間でできることはまだまだある」とブロッキングには慎重な姿勢を見せた。
海賊版サイト対策について議論している政府の検討会議(タスクフォース)では、「海賊版サイトの運営者は特定が困難」として、インターネットサービスプロバイダー(ISP)によるブロッキング(アクセス遮断)法制化が検討されていた。
しかし、海賊版漫画サイト「漫画村」が利用していたCDN(コンテンツデリバリーネットワーク)事業者の米Cloudflareが6月、漫画村の運営者情報を開示していたことが判明。Cloudflareへの情報開示の手続きを行った山口貴士弁護士は、ブロッキングは刑法上の「緊急避難」には当たらず、ブロッキングを立法する根拠となる立法事実も「存在しない」とする意見書を公開した。
こうした事態を受け、情報法制研究所(JILIS、理事長:鈴木正朝・新潟大学法学部教授)は11日、タスクフォースの前提が崩れたと指摘。ブロッキングの再検討を求める声を上げていた。
楠さんは「海賊版サイトの運営者は技術力はそこまで高くない。警察だけに頼るのは難しいが、みんなで協力すれば運営者を特定できることが分かった。犯人を捕まえるのが本筋で、出版社に打撃を与えるほどの大規模な違法サイトなら止められるはず」とし、ブロッキング以外の手段を総合的に検討すべきと指摘した。
川上社長は「今回の件は良いニュースだと思うし、漫画村の運営者は捕まってほしいと思う。だが、今回は漫画村の運営者のミスによるもので、次に違法サイトを作る人は違う抜け道を探すはず」とし、「海外にサーバがあり、他の対策が通じない違法サイトにはブロッキングをしてほしい」と語った。
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