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» 2018年10月23日 08時00分 公開

架空世界で「認証」を知る:「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」で学ぶ”所有物認証” (2/3)

[朽木海,ITmedia]

 まずは自分の位置が分かるGPS的な機能。周囲のマップを手に入れればもちろん地図を表示することもできる。さらにはいろいろなモノや風景の写真を撮影でき、ズームすれば望遠鏡のような役割も果たす。

 そして何と言っても、各地に点在する「塔」や「試練の祠」で、それらの機能を起動させるための、NFC(※1)的な技術による非接触型キーの役割も果たす。

 全ての「塔」や「試練の祠」はゲーム開始時点では休眠状態にあり、誰も利用することができない。リンクの持つ「シーカーストーン」を所定位置に「かざす」ことによって初めて起動し、利用できるようになる。この「シーカーストーンを持った者だけが起動できる」という仕組みが「所有物認証」だ。

 「塔」や「試練の祠」、そして「シーカーストーン」は、どれもかつて存在した古代文明の遺物である。これを使えるように研究、調査したのが今回のゼルダ姫(※2)だ。

 今回のゼルダ姫は、かつて考古学者を目指していたという過去を持っている。さまざまな古代文明の遺跡を発掘し、研究した結果、「塔」や「試練の祠」を起動するためのカギとしての機能を含めた「シーカーストーン」の機能を見出し、リンクに託したというわけだ。

 この「シーカーストーン」、誰かが奪って使おうとする様子はない。そもそもこの時代の人間の知識を超えた存在であるから……ということのようだ。

 「シーカーストーン」の存在を知っている人間も何人かいるが、ほとんどが味方だ。リンクに敵対する「イーガ団」たちも、命を狙ってくることはあるが「シーカーストーン」を奪ってしまおうという動きは見せない。やはり使い方までは知らないのだろうか。

 ところで、ゲーム序盤に記憶喪失として目覚めたリンクが、いくらゼルダ姫の声のガイドがあるとはいえ、違和感なく使えてしまうのはなぜなのだろうか。まあ、リンクを操っているプレイヤーが理解したから……というのが実際のところだが、眠りにつく前の記憶が残って……、おっと、これ以上はネタバレになってしまうから自重しよう。

架空世界

※1…Near Field Communicationの略で、日本語にすると近距離無線通信。数センチ〜十数センチの近距離で通信を行う規格。

※2…シリーズ共通で登場するゼルダ姫だが、基本的には毎回別人である。同様に主人公のリンクも別人。敵役であるガノンだけは共通の存在であるようなほのめかしがあるが……。

現実世界でも広がる「所有物認証」

 現実世界でも「シーカーストーン」のような「かざして認証」は多数存在する。SuicaやPASMO、おサイフケータイ機能付きスマートフォンを使ったコインロッカーなどが代表的だろうか。

 こうした「かざして認証」は、交通系ICカードの普及した2013年前後から徐々に普及し始めており、新しい技術といえる。同じような技術を持ったゼルダの世界の古代文明はいかに発達していたかということが分かる。まあ、それどころか「ガーディアン」と呼ばれる多足歩行兵器まで開発しているのだから、現代のわれわれの技術より発達している可能性も高いのだが……。

 ちなみにこの「シーカーストーン」、1つだけ現代のスマートフォンから劣っている機能がある。それは「通話」だ。

 「シーカーストーン」自体が世の中に1つしか存在しないため、誰か別の人と話すことはできない、というわけだ。もしかしたら機能としては備えていて、過去には複数のシーカーストーンが使われていたのかもしれないが、この時代には1つしかない。残念なことだ……おっと、失礼。この講義のテーマから少しずれてしまった。

「この印籠が目に入らぬか!」

 さて、「かざす」といえばもう一つ所有物認証の例……と言っていいのかは分からないが、興味深い架空世界を紹介しよう。誰もがおなじみの国民的時代劇「水戸黄門」だ。

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