USB-C充電アダプターの小型化が止まらない。スマートフォンに付属する小さなUSB充電アダプター並のサイズで、ノートPCのような大型デバイスを高速充電できるようになる。実現の鍵は「窒化(ちっか)ガリウム」(GaN)の採用だ。
モバイルバッテリーや周辺機器を手掛ける中国Ankerは10月25日(米国東部夏時間)、米ニューヨークで開催したメディア向けイベント「Anker on Board」で、新開発のUSB充電アダプター「PowerPort Atom PD」シリーズを発表した。価格は約30ドルから。いずれも11月末に発売する。日本での展開は未定。
PowerPort Atom PDシリーズは、USBで最大100ワットの電源供給を行える規格「USB Power Delivery」(USB PD)対応のUSB充電アダプター。コンセント電源などから受け取った電力を出力先で使えるように変換する整流器の材料を、従来のシリコンから窒化ガリウム(GaN)に変えた。熱による変換効率の低下や、発火・故障の原因を抑えつつ、大幅な本体の小型化を実現したという。
「これまでのシリコン材料では、熱が発生して変換効率を損失していた。大きな電力で充電しようとすると、発火や故障の原因になってしまう。窒化ガリウムは、より安全に充電できる素材として以前から注目を集めていた。コスト面の問題で実用化までに時間がかかったが、ようやく市場投入できる」(中国Ankerのスティーブン・ヤンCEO)
「PowerPort Atom PD 1」は、27ワット出力のUSB-Cポートを1基備える。本体サイズは41(幅)×35(奥行き)×38(高さ)ミリ、重さ65グラム。スマートフォンに付属するUSB充電アダプター並みに小型ながら、スマートフォンやタブレットだけでなく、ゲーム機や小型ノートPCの充電にも対応する。
最大60ワットのUSB-Cポートを2基備える「PowerPort Atom PD 2」と、最大100ワットでUSB-C/USB-Aポートを2基ずつ備える「PowerPort Atom PD 4」も登場する。これならノートPCを充電しながらスマートフォンやタブレット、モバイルバッテリーなども同時に充電できる。出張や旅行で充電まわりの荷物を減らせるだろう。
米Appleが近々発表するとみられる新型の「iPad Pro」は、USB-Cコネクタが採用されるとの見方もある。周辺機器メーカーのラインアップも少なからず影響を受けそうだ。
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