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年収180%アップも 「データサイエンティスト」注目される理由 専門家が”必要なスキル”解説注目されるAI人材(前編)(3/4 ページ)

» 2018年11月12日 08時00分 公開
[村上万純ITmedia]

「ここまでは最低限必要」なライン

 堅田社長は、「数学、統計学、プログラミングに関して一定レベルのスキルは必要。弊社はコンサルティング事業もやっていますが、社員の採用基準としては、統計検定2級の実力があり、仮説検定や回帰分析はできてほしい」とし、「こうした最低限の共通言語がないと円滑なコミュニケーションが難しい」と説明する。

 企業内において、データサイエンティストは「翻訳家」(ビジネストランスレーター)としての役割も求められる。これは、事業部が抱える抽象的なビジネス課題を、データサイエンスの対象になる具体的な分析課題に落とし込むという意味だ。両者の橋渡しをするには、現場の知識と分析力の両方が必要になる。

データ データサイエンティストに求められるスキル(データミックス公式サイトより)

 「別にRやPythonのスーパースターになる必要はない」と話す堅田社長は、「抽象度の高い議論をいかに具体化できるか。5W1H(誰が、いつ、どこで、何を、なぜ、どのように)をすさまじく細かい粒度に分けられる人が強い」と強調する。

 例えば、無料で記事を公開するニュースサイトで「売上を伸ばしたい」と考えたとしよう。会社が「とりあえず広告収入をアップさせたい」という漠然かつ抽象的な課題を投げかけてきたら、これを具体化する必要がある。ふわっとした課題を具体化するには、想像力が試されるという。

 堅田社長は次のように説明する。

 「広告収入を増やしたいとは、具体的に数字で表すと何なのか。記事を多くの人に読ませたいから、読者が記事を回遊する回数を増やしたいのか。読者について考える場合、一体どういう人が、どんなタイミングで、どんな気持ちで記事を読んでいるのか……というように、データの先にある利用者についてしっかりと想像できる人は、5W1Hのシーンを細かく記述できる」

 こうして課題を細かく分解していき、「読者が読みたい記事をレコメンドするアルゴリズムで解決できるのでは」といった仮説を立て、予測モデルを作ったら実データで検証していく。「解決手段は、ツールを使う人の気持ちが想像できないとなかなか思い付けない。人が何を思って行動するかまで考えないといけません」(堅田社長)

 必要なのは、豊かな想像力と、人間への興味。求められるスキルがかなり広範囲なのが分かる。では、データサイエンティストに向いている、素質があるのはどんな人なのか。

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