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» 2018年11月12日 13時33分 公開

「わずか数秒」AIが保育所入所選考 富士通、自治体のIT化に手応え

富士通が、AI技術を使って保育所の入所選考業務を効率化するソフトウェアを、市町区村の役所向けに提供すると発表した。これまで10日以上掛かることもあった複雑な入所選考業務を、AIを活用して数秒で処理するという。

[村上万純,ITmedia]

 保育所の入所選考にAI(人工知能)技術を使い、わずか数秒で数千人規模の児童を各施設に割り当てる――富士通は11月12日、市町区村の役所など向けに保育所の入所選考業務を支援するソフトウェアの提供を始めた。自治体が定める入所選考基準と保護者の希望を基に、AIが保護者の優先順位に沿って児童を各保育所に割り当てる。これまで30以上の自治体で実証実験を行っており、2018年中に滋賀県大津市が導入する予定。

富士通 AIが保育所入所選考を行うソフトを提供

 保育所に入所するには、(1)保護者が自治体に入所希望申請書(紙)を提出する、(2)自治体の職員が受け取った申請情報をシステムに入力する、(3)職員が申請情報を基に、優先順位や入所条件を考慮しながら入所選考を行う、(3)選考結果をシステムに入力し、結果を保護者に通知する――というプロセスを経る必要がある。

富士通 入所選考をAIがサポートする

 (3)の入所選考業務を同社のAI技術「Zinrai」を用いたソフトに代替させる。児童の割り当てには「ゲーム理論」を応用したアルゴリズムを活用。申請者の希望条件を基に、入所先に応じて利得(好ましさ)を点数化し、なるべく多くの人が高得点になるような割り当てを実現するという。公平性を保つため、保育所の空き状況や希望順位などに基づいて選考結果を説明する機能も搭載。申請者にどこまで説明するかは各保育所に委ねられる。

富士通 保育所入所選考の課題

「自治体のIT化」に手応え

富士通 富士通 公共・地域営業グループの河野大輔さん

 富士通 公共・地域営業グループの河野大輔さん(行政ビジネス推進統括部 行政第三ビジネス推進部 シニアマネージャー)は「保育所入所選考は年々複雑化しており、保護者にも自治体にも悩みの種になっている。自治体によっては、入所選考に10日以上掛かる場合もある。これがAIによって数秒で済むようになる」と話す。

 保護者は「兄弟は同じ保育所がいい」「家に近い場所がいい」といった希望を伝えるが、自治体側は全ての要望に応えることが難しく、公平性を保とうとすると入所選考作業は複雑になりがちだった。17年に富士通がさいたま市と共同で行った実証実験では、約8000人の匿名化データを用いて数秒で保育所の割り当てを行ったという。

 河野さんは「膨大な手間と時間が掛かっていた入所選考を自動化することで、職員は他の業務に時間を割ける。紙で届いた申請者情報をシステムに入力する業務も自動化してほしいという声が上がっており、自治体業務にはまだまだIT化の余地がある」と今後の期待を語った。

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