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優秀なデータサイエンティストは”言語力”が違う データ分析で企業はどう変わるのか注目されるAI人材(後編)(1/3 ページ)

» 2018年11月13日 08時00分 公開
[村上万純ITmedia]
データ 社会人向けにデータサイエンティストを育成するプログラムを提供するデータミックス(東京・神保町)の堅田洋資社長

 前回の記事では、なぜいまデータサイエンティストが注目を集めているのか、データサイエンティストに求められるスキル、データ分析の素質がある人の特徴などを紹介した。

 今回は、企業におけるデータ分析の価値や、優秀なデータサイエンティストの共通点などについて、社会人向けにデータサイエンティストを育成するプログラムを提供するデータミックス(東京・神保町)の堅田洋資社長に聞いた。

 大量のデータを抱えつつも、「それを有効に活用できていない」と感じる企業は少なくないはずだ。データ分析によって企業はどんな恩恵を受けるのか。堅田社長は「売上をアップしたい」と考えるコンビニエンスストアの例を挙げて説明する。

「売上をアップしたいコンビニ」はデータ分析でどう変わるか

 現場から上がってくる“ふわっとした課題”を、いかにして計測・分析できる具体的な問題に落とし込むか。堅田社長は「抽象的な問題を具体化するためには、要素を細かく分解していくといい」と話す。「売上」を構成する要素は、次のようになる。

データ コンビニを例に課題を分解してみる
  • 売上:レシート枚数×レシート単価
  • レシート枚数:延べ来店人数×購入率
  • 延べ来店人数:ユニーク来店者数×来店頻度
  • ユニーク来店者数:認知人数×来店率
  • 認知人数:商圏人口×認知率

 このように順番に要素を分解していくことで、データサイエンスの視点でアプローチできそうな項目が浮き彫りになる。購入率や来店頻度などは、レジのPOSデータやポイントカードなどを利用することでデータ分析の対象となりそうだ。

 こうしたプロセスを経て「購入率に注目するなら、品ぞろえを変えるとよいかも」「来店頻度を上げようと思うなら、ポイントカードの活用が有効かもしれない」「来店率アップなら看板やチラシで工夫できそうだ」「認知率を上げるには広告を打つのがいいか」などの対策が立てられるようになる。手持ちのデータだけだと不十分な場合は、新たに必要と思われるデータを収集する。

 「例えば来店頻度に着目し、特定の客層に向けてポイント2倍デーを作る場合、いつ、どの商品を買った人向けに仕掛けるか」という所まで落とし込めれば「5W1H」(誰が、いつ、どこで、何を、なぜ、どのように)に近づくので、データサイエンスで解きやすい問題になる。

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