堅田社長は「優秀な人は、コミュニケーション能力が高い人が多い。あと、正直なことも大切で、自分の強みと弱みを理解し、ここからは自分だと難しいという線引きがしっかりできる人は安心できる」と説明する。求められるスキルの範囲が広いため、冷静に自分のスキルを見定め、その持ち味を生かせている人は組織の中でもうまく結果を出せているようだ。
「豊富な語彙(ごい)力があり、分かりやすい身近なものに例えて相手に説明でき、納得感を醸成する能力もあるといい。納得感がないと人は動かないので、言語能力は結構重要です」(堅田社長)
技術的なバックグラウンドのない現場の従業員と、数学とプログラミングの能力にたけたエンジニアたちをつなぐ役割を担えるかどうかは、実務上も大事な点といえる。
そういった人材が活躍できるような企業側のサポートも欠かせない。既にデータ分析のノウハウがある会社なら問題ないが、新たにAI推進室などの部署を立ち上げてデータサイエンティストをイチから育成しようとしている場合は、「なかなか成果を出す環境を作るのが難しい」(堅田社長)という。
駆け出しのデータサイエンティストの場合は、現場から上がる抽象的で漠然とした課題を具体化する能力と経験に乏しい場合がある。また、会社側が短期的な成果を求めると、試行錯誤がしにくく新しい成果を得られにくいとしている。
堅田社長は、「現場からのふわっとした課題を翻訳する上司のサポートや、現場の試行錯誤を許容する柔軟なプロジェクト管理が組織として求められる。うまくいっている企業は組織的なバックアップがしっかりできている」と説明する。
企業側は、データサイエンティストの育成だけでなく、データ分析を生かせる組織作りへの対応も求められそうだ。
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