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「新世紀エヴァンゲリオン」で初号機はシンジをどう“認証”しているのか架空世界で「認証」を知る(3/3 ページ)

» 2018年11月20日 08時00分 公開
[朽木海ITmedia]
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 日本ではアーサー王を女性化したり、百万人ものアーサー王を生み出したりして、ただでさえ多い本家のバリエーションにも勝る、さまざまなバリエーションを作り出しているので、ご存じの方も多いだろう。

 さて、アーサー王といえば、岩に刺さった剣を引き抜いたことで王となったというエピソードは最も知られたものだろう。このエピソードは王の血筋の証明であったという説が主流となっている。これは「血筋認証」の一種と言えるだろう。

 なお、この剣は日本では一般的に「エクスカリバー」として知られているが、本家では「エクスカリバー」と岩に刺さった剣は別物とする解釈の方が多いようだ。「エクスカリバー」は松明(たいまつ)100本を束ねたよりも明るい光を放つ……なんて話も伝わっている。Fateシリーズに登場する「約束された勝利の剣(エクスカリバー)」はビーム砲のような光を放つが、あれもあながち間違いでもないのかもしれない。

 さて、本題に戻ろう。これは私個人が思っている説だが、王を名乗るものには馬鹿力が必要で、力任せに引き抜くことができる人間なら王であるという、「力任せ認証」を後からストーリー化した可能性もあると考えている。まあ、先に述べたように「アーサー王物語」にはバリエーションが多いため、実際のところは謎ではあるが……。

架空世界

 余談だが、この「岩に刺さった剣を引き抜く」というモチーフは他の架空世界でもたびたび登場する。前々回に紹介した「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」でも、マスターソードを岩から抜くというシチュエーションがある。ここではハートのうつわ(体力)が一定以上ないと引き抜けないという設定になっていた。これも「力任せ認証」の一種だろう。

※1:リンク先は2017年に日本公開となった映画「キング・アーサー」公式サイトです。この映画のアーサーを、イラストにある剣を引き抜いたときのアーサーのモデルとして参考とさせていただきました。

精神の特徴や遺伝子情報による認証の相続は現実化する?

 さて、今回は現実では存在しない、あるいは存在し得ないような認証を紹介した。ちょっと飛躍しすぎだっただろうか。

 しかし、科学の進歩というのは足早なものなので、例えばエヴァに登場するような精神の動きを感知して行う認証は将来的に実現するのかもしれない。

 また、血筋というとあいまいな生体情報だが、遺伝子であれば確実な生体情報として認証に利用できる時が来るのは現実的に思える。

 さて、次回だが、ちょっと趣向を変えて架空世界での「乗っ取り・なりすまし」について注目してみたいと思う。では今日はここまで!

著者プロフィール

朽木 海 (ライター、編集者、γ-Reverse代表)

ゲーム会社や出版社などの「IPが欲しい会社」と、ライトノベル作家や脚本家、漫画家などの「IPを作りたいフリーランス」を繋げるためのプロジェクト「γ-Reverse」の代表。引き続きライター業や編集者業も行っています。

せぐなべ」にて「オンラインゲームセキュリティガイド〜正体バレても大丈夫?ネットの向こうにご用心〜」を執筆。

「せぐなべ」紹介

ITを活用する上で無視できない認証とセキュリティの話題を、楽しく分かりやすく伝える認証セキュリティの情報サイト「せぐなべ」。運営企業のパスロジは、企業向け認証プラットフォーム「PassLogic」や個人向けパスワード管理アプリ「PassClip」などを提供。ITmedia NEWSで認証関連の話題を分かりやすく解説する「今さら聞けない「認証」のハナシ」を連載中。

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