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» 2018年11月22日 12時00分 公開

Adobe MAX Japan 2018:「かわいい明朝体作りたかった」 制作者が明かす「貂明朝」と新フォント「貂明朝テキスト」の裏話 (1/2)

アドビのタイプデザイナーが「貂明朝」と「貂明朝テキスト」の制作裏話を「Adobe MAX Japan 2018」で明かした。

[村田朱梨,ITmedia]

 アドビシステムズが11月20日に発表した「貂明朝(てんみんちょう)テキスト」は、2017年に登場した「貂明朝」をベースに作られた新しい和文フォントだ。2つを並べてみると、ひらがなとカタカナがアレンジされているのが分かる。しかし、貂明朝が持つ「かわいらしさ」は、しっかりと貂明朝にも反映されているように見える。

photo 「貂明朝」
photo 「貂明朝テキスト」

 同じようで違う新しいフォントを作った狙いはどこにあるのか。制作者の西塚涼子さん(アドビシステムズ 日本語タイポグラフィ チーフ タイプデザイナー)が、横浜市で開かれたクリエイター向けイベント「Adobe MAX Japan 2018」で、制作のきっかけを明かした。

かわいい貂明朝を「本文向け」に

 貂明朝を作ったのは、「かわいい明朝が作りたかった」からと西塚さんは言う。「明朝体といえば、先端がとがっていて、美しくて、流麗で、小説を流れるように読める書体。そうではない明朝があってもいいのではないかと考えた」(西塚さん)

photo アドビシステムズの西塚涼子さん

 「もったりとした筆遣いで、少し墨がたまったようなところ」を取り入れるなど、手書きの要素を明朝体と融合。少し文字の重心を下げたり、丸みを持たせたりと、小振りながらも主張の強い文字に仕上げたという。

 西塚さん自身の貂明朝に対する印象は、「かわいいが、本文で使うにはやや癖のあるフォント」。しかし17年に発表してみると、ブログなど長い文章に利用するユーザーが多く、本文にも貂明朝の需要があることが分かったという。そこで、長文でも読みやすいスタイリッシュな貂明朝――「貂明朝テキスト」の制作が始まった。

 統一感を持たせるため、漢字は貂明朝のままにし、ひらがなとカタカナをアレンジ。「クラシックなフォント」のフォルムを取り入れ、文字をやや太くすることでしっかりとした印象に仕上げた。

 さらに、ひらがなの「ま」なら「貂明朝では縦線が猫背のようになっているが、貂明朝テキストではオーソドックスな縦線に変える」(西塚さん)など、一文字一文字に工夫を凝らした。

photo 貂明朝テキストとの違い
photo 文字の「はらい」は貂明朝と揃えて統一感を出した
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