英会話スクールを運営するイーオンとKDDIは11月22日、AIを用いて日本人の英会話スキルを自動評価するシステムを共同開発したと発表した。「ネイティブが聞き取りやすいかどうか」を重視し、日本人の英会話をAIが100点満点で評価するというものだ。
同日開催された発表会では、記者たちから「機械翻訳の時代はそもそも英語を勉強しなくてもいいのでは」という質問が相次いだ。そうした疑問に対し、イーオンの三宅義和社長は次のように答えた。
「英語を学びやすくなっているのは事実だが、学ばなくていいのかは別問題。自動翻訳を利用しない手はないが、ビジネスの現場でリアルタイムにやりとりする場合、今の技術でどこまで頼れるか。完全な自動翻訳が完成しても、それを使うのか自分の言葉で話すのかは選択の問題と考えている」
三宅社長は、もし完璧な自動翻訳システムが登場したとしても「英語を話したい日本人は一定数いるはず」と答えた。
「英語を話す必要がなくなった時代に、英語を話したい日本人」はいるのか。ちなみに筆者もその1人。なぜなら「相手とコミュニケーションを取ること」「伝えたいことを正しく伝えること」が目的で、言葉はその一手段でしかないと考えているからだ。
翻訳デバイスを通してコミュニケーションを取るのと、直接対話するのとでは伝わり方が全く異なる。言葉そのものの正確さも大切ではあるが、表情やボディーランゲージ、その場の雰囲気など感覚的な要素も含めてこそコミュニケーションといえるだろう。「自分の考えをまとめる」「相手に伝わるように工夫する」といった心構えは英語力以前の問題かもしれない。
そう考えると、さらに進化していく機械翻訳を「どういった目的で、どう使っていくのか」を考える必要がある。例えば、外国人へのインタビューには厳しそうだが、ビジネスメールには重宝するはずだ。
自身の学生時代を振り返ると、紙の辞書をぺらぺらとめくったり、隣に座っているクラスメートをグリーン先生に見立てて「Hello, Ms.Green.」というテンプレートな会話を何度も繰り返したりと、あまり効率的でないと感じる学習方法が多かった。
機械翻訳を含むAIの時代は、英語学習の形もますます変わっていくだろう。イーオンの取り組みもその1つ。語学を学びたい意欲のある人には良い時代になったようだ。
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