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» 2019年01月22日 07時00分 公開

「STORIA法律事務所」ブログ:いよいよ施行された「改正著作権法」は、弁護士や学者にとってビジネスチャンスとなるかもしれない (1/3)

2019年1月1日から施行された改正著作権法には、学識経験者にとって新たなビジネスチャンスの可能性があるといいます。AIと著作権に詳しい弁護士の杉浦健二さんが解説します。

[杉浦健二,ITmedia]

この記事は「STORIA法律事務所」のブログに掲載された「いよいよ施行された改正著作権法は、弁護士や学者にとってビジネスチャンスとなるかもしれない」(2019年1月7日掲載)を、ITmedia NEWS編集部で一部編集し、転載したものです。

 改正著作権法が、一部の規定を除いて2019(平成31)年1月1日より施行されました(新条文はこちら)。著作権法の改正にあわせて「著作権法施行令の一部を改正する政令」「著作権法施行規則の一部を改正する省令」も同じく2019(平成31)年1月1日より施行されています。

「著作権法施行令の一部を改正する政令」(官報平成30年12月28日・号外第290号)

「著作権法施行規則の一部を改正する省令」(官報平成30年12月28日・号外第290号)

 著作権法の改正は既に多くのメディアが取り上げていますが、本エントリは著作権法改正とあわせて行われた著作権法施行令と著作権法施行規則の改正について触れるとともに、今回の改正は弁護士、学者、その他の「学識経験者」にとって新たなビジネスチャンスの到来となるかもしれないと思い取り上げた次第です。

まずは著作権法改正の概要をざっくりと理解する

(1)デジタル化・ネットワーク化の進展に対応した柔軟な権利制限規定の整備

(2)教育の情報化に対応した権利制限規定等の整備

(3)障害者の情報アクセス機会の充実に係る権利制限規定の整備

(4)アーカイブの利活用促進に関する権利制限規定の整備等

(5)TPP11発行に伴う著作権法改正(保護期間の延長、一部非親告罪化)

 うち(1)(3)(4)は2019年1月1日から、(5)は2018年12月30日から施行されました(2は2019年4月1日から施行予定)。

 上記(1)から(5)のうち、Webサービス事業者やAI業界にとって特に影響が大きいのは、(1)デジタル化・ネットワーク化の進展に対応した柔軟な権利制限規定の整備です。

 すなわち、他人の著作物(画像や音楽などのコンテンツ)を利用する場合であっても、 (1)AIによる情報解析や技術開発など、視聴者等の知的・精神的欲求を満たす効用を得ることに向けられた行為でなく、著作物を享受する目的で利用しない場合(著作物の非享受利用)、(2)新たな知見や情報を創出することで著作物の利用促進に資する行為で、権利者に与える不利益が軽微である一定の利用を行う場合(著作物の軽微利用)には、著作権者の同意がなくとも付随的な利用が認められることとなりました(上記の説明は抽象的な概念でありこの時点で理解できる必要はありません)。

 なお今回の改正は著作物を利用できる範囲を広くする方向のものであり、旧著作権法のもとで許容されている行為は改正後も同様に許容されるものと考えられています。

新たに定められた、著作物の「非享受利用」と「軽微利用」

 文化庁が作成した改正概要説明資料(下記表)でいうと、上記の(1)著作物の非享受利用は、下記表の【第1層】、(2)著作物の軽微利用は下記表の【第2層】にそれぞれ位置付けられます。

 改正後の著作権法では、(1)著作物の非享受利用は新30条の4と新47条の4、(2)著作物の軽微利用は新47条の5にそれぞれ定められています。新法と旧法の対応関係を理解するためには、文化庁サイトに掲載されている新旧対照表の参照が有益です。

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