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» 2019年01月23日 15時21分 公開

“IoT除雪車”全国で続々 大雪で「街の機能がほぼ停止」、教訓を糧に (1/2)

石川県加賀市が、IoTを活用した、除雪車の運行状況をリアルタイムで把握するシステムを導入した。2018年2月、30年ぶりの大雪に見舞われたことがきっかけという。

[片渕陽平,ITmedia]

 「街の機能がほぼ停止した」――そう話すのは、石川県加賀市の宮元陸市長。同市は2018年2月、30年ぶりの記録的な大雪に見舞われ、「除雪車の運行管理がほとんど満足に、思うようにいかなかった」と宮元市長は振り返る。

photo 記録的な大雪で「街の機能がほぼ停止した」と話す石川県加賀市の宮元陸市長=日本マイクロソフトが公開した動画より

 そんな教訓から加賀市は、IoTを活用した、除雪車の運行状況をリアルタイムで把握するシステムを導入した。こうした取り組みは、加賀市にとどまらない。突如、町を襲う豪雪に備え、IoT、5G(第5世代移動通信)などを生かして除雪を効率化するプロジェクトが、全国各地で進んでいる。

「分からなかった」

 加賀市の宮元市長は、大雪に見舞われた当時、「どこにどういう車両がいて、どういうふうに運行すれば、効率的に除雪ができるか。今のテクノロジーが進んだ中で、それすらも分からなかった」と話す。

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 そんな状況から同市は、除雪車に備え付けたスマートフォンを使い、GPSのデータなどをクラウド上に収集し、車両の運行状況を可視化するシステムを導入した。これまで電話などで把握していた除雪車の現在位置や、現地で直接視認する必要があった除雪を済ませた場所を、分かりやすく地図上に表示できるように。加えて、各除雪車のカメラで撮影した道路状況も市役所から確認できるようにし、市民からの問い合わせにもすぐに応えられるようにした。

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 除雪事業者が作業終了後、市に提出する報告書の作成プロセスも簡便化した。これまでは除雪事業者が報告書を手書きで作り、市にFAXで報告。市職員がそれらをMicrosoft Excelを使って入力し、除雪を費用を算出する――という煩雑なプロセスだったが、新しいシステムを導入したところ、稼働状況と一緒に除雪記録が残るため、作業時間の削減が見込めるという。

 同システムは、北菱電興(金沢市)が開発。日本マイクロソフトのクラウドサービス「Microsoft Azure」を活用した。北菱電興の長谷侑哉氏(技術開発事業部)は「(同社のシステムは)もともとIaaSを使って構築していたが、サーバ全体のインフラ管理や、セキュリティパッチを当てるという管理面で人件費がかかっていた。そこで(Azureを使って)PaaSで構築するようにした」と説明している。

 将来は、除雪作業をより効率化するために、蓄積した気象データと作業実績データを分析することや、AI(人工知能)サービス「Microsoft Cognitive Services」を活用した画像解析によって降雪の度合いを判断することも検討している。

全国各地で“IoT除雪車”続々

 このような除雪作業の効率化は、加賀市以外にも日本各地で実証実験が進んでいる。

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