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» 2019年01月24日 11時00分 公開

マスクド・アナライズのAIベンチャー場外乱闘!:“自称AIエンジニア”を見破るには? 採用担当に伝えたい「ゴレンジャイ問題」 (2/3)

[マスクド・アナライズ,ITmedia]

 婚活サイト登録者が「結婚するなら25歳までの女性がいい(40歳・男性)」「年収800万円と身長180センチ以上は譲れない(38歳:女性)」と答えれば即炎上ですが、企業が採用において似たような高望みをしても意外と話題になりません。婚活市場で人気のある異性が現在進行形でベビーカーを押しているように、優秀なAI人材はGAFAやメガベンチャーで働いているのが常です。

 AIを開発できる優秀なエンジニアは、人材紹介会社や協力会社(SIer)おいて天然記念物級の存在になっています。最初は「優秀なAI開発チームの立ち上げ」を理想としても、途中から「AIが分かる人材を集める」となり、最終的には「とりあえずITエンジニアを採用しよう」という妥協の産物が誕生しがちです。

AI人材 ピラミッド型組織の弊害

 もちろん年俸を高くすれば優秀な人材は集まりますが、多くの日本企業では「大人の事情」で難しいのが現状です。従来のシステム開発では人数をそろえて苦難を乗り越えたため(※)、AIでも同じ方法で開発できると思われがちです。

※無理・無茶・無謀がまかり通る開発を人海戦術・長時間労働・現場の苦労で強引にごまかしたとも言えますが。

 初売りセールで福袋を買い占めるなら人を集めれば良いのですが、AI開発は単純なものではありません。それでも偉い人から採用に対するプレッシャーがあれば、「人数をそろえて何とかしよう」的な暗黒面にとらわれてしまいます。

「即戦力採用」のワナ “華やかな経歴”に注意

 では、実際の採用の話に移りましょう。

 弊社でも、直接応募や人材紹介会社経由などでAI人材を面接する機会が多々あります。そして、面接開始5分で「後悔」の2文字が浮かんだ経験は、1度や2度ではありません。

 AIを開発できるエンジニアを求めているのに、Python(AI開発で使われるプログラミング言語)で基本的なプログラムが書けず、理由を聞いたら「本を読んだだけ」という人もいました。明らかに軽いノリで「プログラミングはこれから勉強します」「AI開発できるとカッコいいので頑張ります」というドリーミーなポエムを添えて応募しても、書類選考で落としています。

 どんなジャンルでもブームになると同様の現象が発生するらしく、アニメ「けいおん!」の影響で楽器を買い、部屋の奥で眠らせている人と同じです。書類選考でスキル要件を確認し、人材紹介会社にプログラム経験が必要なことを伝えていても、このオチです。

 それでも有名IT企業やベンチャーへの転職にこだわらず、IT以外の事業会社やSIerでの採用を考える応募者はいるでしょう。前述の「インダストリー4.0」「自動運転」「Fintech」の隆盛により、幅広い業種でAI人材が求められているからです。

 しかし、職務経歴書を見て「この人は良さそうだ」と即決するのは時期尚早です。先ほどの例とは打って変わって「経歴を盛る」パターンもあるからです。AIブームの過熱で採用が「ビジネス」になると、応募者の経歴や能力や経験などを偽装して採用につなげようとする人材紹介会社も出てきます。フェイクニュースやデマの拡散、大企業や官公庁のデータや書類の改ざん、SNS映えやアプリによる画像加工など、あらゆる場面で「偽装」がはびこる昨今では、職務経歴書など信頼できません。

AI人材 ニッポンの悪しき“盛る”文化

 IT業界(における一部の企業)では経歴詐称は横行しているようで、技術力や開発経験を“盛る”事例も確認されています。エンジニアの紹介料や稼働単価を上げるため、はやりの「AI人材」を詐称して売り込むのです。

 一部の会社は技術力や人材よりも営業力と資金回収力に長けていますが、やたら都合の良いことを並べる営業担当がいたら、疑った方がいいでしょう。

 弊社にも人材紹介会社から「〇〇大学(米国の有名大学)でコンピュータサイエンスの博士号を取得」「シリコンバレーで起業経験あり」「自動運転開発のプロジェクトリーダー」なる人材の売り込みがありましたが、主人がオオアリクイに殺されて1年たった話の方がよほど信ぴょう性があります。

 前提として、転職希望者の能力が顧客の要望に達していなければ、採用されません。それでも人材紹介会社は成功報酬型のビジネスモデル(転職者の年収3割程度が手数料収入)であり、自社エンジニアを取引先に常駐させるSIerでは社員が稼働する開発現場が必要です。

 そこで書類選考の突破率を上げるために職務経歴書を“見直し”たり、面接官にAI人材としてアピールするため“面接対策”を行う必要があります。技術に疎い人事はそれを見抜けませんし、懇意な取引先として信頼関係があれば、義理人情で採用されることもあるでしょう。もっとも、付き合いがあっても人材紹介会社やSIerもビジネスなので、常に優秀な人材を紹介するとは限りませんが。

 こうした背景もあって、AIを開発できないAI人材が採用されるゴレンジャイ問題が発生しています。

「採用フロー」見直しを エンジニアの協力、不可欠か

 では、こうした採用のミスマッチを解消するにはどうすればいいのでしょうか。

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