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“自称AIエンジニア”を見破るには? 採用担当に伝えたい「ゴレンジャイ問題」マスクド・アナライズのAIベンチャー場外乱闘!(1/3 ページ)

» 2019年01月24日 11時00分 公開

 昨年から突如始まった本連載ですが、無事に2019年を迎えて継続と相成りました。ひとえにみなさまからの暖かい声援(「面白くてためになる記事」「イキって見下しているだけ」など)のおかげです。

 新年最初の記事なので意識高い系アルファベット4文字ワードで「GAFA」「GDPR」など語りたいところですが、「IWGP」しか思い付かず挫折しました。

 というわけで「意識低い系AIエバンジェリスト」なる肩書を引っ提げ、地べたを這いドロ水をすすってでもITmediaで連載したい所存です。

 年明けを迎えた弊社では、AI(人工知能)開発職としてエンジニアが入社しました。前回の記事では「データサイエンティストの採用と育成」について企業が見直すべき点をまとめましたが、今回は採用プロセスについて考えてみました。

 エンジニアだけでなく人事・採用担当者にも読んでほしい内容です。

連載:マスクド・アナライズのAIベンチャー場外乱闘!:

マスク

自称“AI(人工知能)ベンチャーで働きながら、情報発信するマスクマン”こと、マスクド・アナライズさんが、AIをめぐる現状について、たっぷりの愛情とちょっぴり刺激的な毒を織り交ぜてお伝えします。Twitter:@maskedanl

(編集:ITmedia村上)


採用のミスマッチで起きる「ゴレンジャイ問題」

 取引先から寄せられる相談に、「良いAI人材を採用できない」という悩みがあります(本記事では「AI人材」を「AIを開発できるエンジニア」とします)。

 紆余曲折を経て何とか採用したものの、業務で役立つAIを開発できないそうです。結果として弊社にトレーニングを依頼するものの、受講者の技術力が乏しさが判明するなど、即戦力採用に疑問が残る事例もありました。

 どうやら「AI人材」として企業が求める能力やスキルと、採用された人材の間に大きなミスマッチがあるようです。本記事ではこの現象を「ゴレンジャイ問題」と命名して、掘り下げてみたいと思います。

AI人材 ゴレンジャイ問題

 「ゴレンジャイ」は、「ダウンタウンのごっつええ感じ」というバラエティ番組で放送されたコントです。戦隊ヒーローをモチーフとしており、女性を助けるために5人のヒーローが登場するものの「赤が3人で黄色が2人」というアンバランスさを、悪役(浜田雅功)に突っ込まれるコントです。30代以上の方は覚えていると思いますが、20代以下の方は同番組のDVDなどをご覧ください。

 問題の本質は「選考段階で必要な能力・スキルを持つ人材を見極められず、不適格な人材が採用される」ことです。製造業の「インダストリー4.0」、自動車業界の自動運転技術、金融業のFinTechなどAI人材の需要は旺盛ですが、こうした事業会社におけるAI人材採用でミスマッチが散見されます。

AI人材 企業が求める人材と転職市場の人材

 企業が求める人材と転職市場の人材において、需要と供給が大きく乖離(かいり)しているのです。

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