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» 2018年12月21日 08時00分 公開

マスクド・アナライズのAIベンチャー場外乱闘!:「データサイエンティスト・ラプソディ」 なぜ優秀なAI人材は転職するのか (1/4)

「優秀なデータサイエンティストを採用できない」「人材が定着しない」――そう嘆く前に、まずは自分たちの組織の体制や環境を見直してみましょう。とがったAI人材を許容できる環境作りはできていますか?

[マスクド・アナライズ,ITmedia]

 新卒採用は「売り手市場」と呼ばれる活況を呈しています。とりわけデータサイエンティストの素養がある学生は、各社で争奪戦となります。

 私も取引先の大手製造業に採用の相談を受けると、「世界に名だたる御社でも大変なんですか!? むしろ弊社が教わりたいくらいですよ!」と、社会性とコミュ力を発揮しています。

 ともあれ業種業界を問わず、データサイエンティストの採用には苦戦します。弊社の採用でも、一般的な求人サイト、インターン、他社員からの紹介など、さまざまな方法を駆使しています。

 メンバー集めが大変なのは、会社に限った話ではありません。データ関連人材が不足している現状を見ているうちに、思わず社会現象を巻き起こす映画「ボヘミアン・ラプソディ」を思い浮かべました。

 ボヘミアン・ラプソディは、世界的なロックバンド「クイーン」を題材にした作品で、故フレディ・マーキュリーの半生を中心に、名曲が誕生した瞬間などを描いています。

 ベンチャーのような小さい組織であれば、バンドのように知り合いが加入するのも珍しくありません。ただし、それで成功するかどうか分からないのは起業も音楽活動も同じです。フレディ・マーキュリーとクイーンが黄金期を迎えたのは約40年前ですが、昔もいまも成功するのは難しく、夢破れて去っていく人もいます。

 現在の音楽を取り巻く環境は、ネット配信や定額聴き放題サービスの普及、CD売上の減少をライブで補うなど、確実に変化しています。そして、企業の在り方も時代によって移り変わっていくものです。

 今回はそんな時代の風を肌に感じながら、「データサイエンティストの採用と育成」について考えてみたいと思います。なぜデータサイエンティストの採用は難しいのか、どうすれば優秀な人材が定着するのか。企業が見直すべきポイントをまとめてみました。

連載:マスクド・アナライズのAIベンチャー場外乱闘!:

マスク

自称“AI(人工知能)ベンチャーで働きながら、情報発信するマスクマン”こと、マスクド・アナライズさんが、AIをめぐる現状について、たっぷりの愛情とちょっぴり刺激的な毒を織り交ぜてお伝えします。Twitter:@maskedanl

(編集:ITmedia村上)


しかるべき待遇を用意できているか?

 まずは、データサイエンティストの採用を取り巻く環境を見てみましょう。新卒採用では、大学で統計学や数学、プログラミングなどを勉強した学生が即戦力となります。近年では需要の高まりから、滋賀大学、武蔵野大学、横浜市立大学などで「データサイエンス学部」が設立されました。

DS 滋賀大学のデータサイエンス学部とデータサイエンス研究科(公式サイト

 しかしながら、こうしたスキルを持つ有望な人材はごく限られています。企業が貴重な人材を獲得するには「三顧の礼」を尽くす努力が必要でしょう。

 三顧の礼は、三国志で劉備玄徳が自分より20歳年下の諸葛亮孔明を迎えるために三度訪ねたとする故事成語。現代に置き換えるなら、企業は新卒の待遇を向上させて「三十万の初任給」で臨みたいところ。

 しかし「三十万の初任給」を実現する会社は意外と少なく、ディー・エヌ・エー、ワークスアプリケーションズ、Sansan、ヤフーなど数えるほどです。

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