「RPAはトップダウンとボトムアップ、どちらで進めるのが正解か」「そもそもRPA案件はどうやって発掘すればいいのか」――既にRPA(ロボットによる業務プロセス自動化)の導入や運用を1年以上進めてきた富士フイルムホールディングスと大日本印刷株式の担当者が、1月30日に開催されたイベント「UiPath Forward Japan」でこれらのテーマについて議論した。
両社はそれぞれ異なるプロジェクトの進め方や判断基準で、RPAの導入や適用範囲の拡大に取り組む。いずれもRPAツール「UiPath」を活用したという。
富士フイルムホールディングスの柴田英樹さん(経営企画部 IT企画部長)は、「当社は製造業がメインで、昔からブルーカラーの業務改善を続けてきた。それがホワイトカラーにも広がり、2017年度からBPR(業務プロセスの見直しと再設計)やRPAによる効率化も進めている」と説明する。
同社は、グループ全体の戦略策定と推進を担う専門の組織によるトップダウン型のアプローチと、業務部門主導によるボトムアップ型の両軸でRPAを進めているのが特徴だ。
「当初はトップダウンでRPA化できそうな業務を発掘していたが、スピード感が出ないことにジレンマを感じ、いまは業務部門主導の業務効率化も進めている」
2018年度はこれまで培ったノウハウを生かし、グループ全体に拡大していく考えだ。
一方で、大日本印刷は異なるアプローチでRPAに取り組む。同社は17年11月に社内の業務革新に関わる活動の1つとして、事業部全体へRPAの導入を決めた。
山頭理さん(情報イノベーション事業部 情報化推進部 部長)は「事業が多角化するにつれ、組織や仕事の進め方など全てにおいて改革が望まれたため、RPAへの期待は大きかった」と話す。
大日本印刷では、自動化する業務の洗い出しや要件定義などは業務部門が主導している。山頭さんは「各業務は組織の中に細かく偏在しており、それぞれの掘り起こしはその部門の人しかできない。いかに一人一人の参加意識を高められるかが重要だ」と語った。部門長がRPA導入を強く推進する部門では、効果を実感した現場の担当者が新たな提案を次々と出し、好循環が生まれるケースもあるという。
全社でRPAを推し進めたいときはトップダウンの方が良さそうだが、実際の要件定義は業務部門でないと難しいという実態があるようだ。
柴田さんは「誰がRPAについて要件定義するかの正解は、あってないようなもの。それぞれが自分の業務から課題を見つけて解決できるよう主導する人がいればいい。各社の状況でも誰がやるべきかは異なると思う」と語った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR