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RPAは“誰主導”で進めるべき? 富士フイルムと大日本印刷、意見異なる2社が議論(2/2 ページ)

» 2019年01月31日 07時00分 公開
[村上万純ITmedia]
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RPAは「導入後が本番」

 RPA化する業務の判断基準についても意見が分かれた。富士フイルムホールディングスは「費用対効果をP/L(損益計算書)ベースで判断し、金額を含めた定量的な削減効果に徹底的にこだわっている」(柴田さん)という。コスト削減で経営状態の改善にどれだけインパクトを与えられるかを重視する方針だ。

RPA 山頭さん

 一方の大日本印刷は、目標の期間を定めてその効果を四半期ごとに見直している。「プロジェクト期間は1年半で、一定期間で業務削減目標を定め、効果を見ている。案件1つ1つの費用対効果を見るのではなく、全体のバランスを見る。削減効果が小さいような業務も横展開できる可能性があるので無視できない」(山頭さん)

 これまで見てきたように、各企業にフィットするRPAの取り組み方はそれぞれ異なっている。山頭さんは「業態や会社の風土はそれぞれ異なる。自社に合った業務効率化を進めるのが継続のカギになる」と強調する。

 そんな両社が共通して注力しているのが「ロボットの維持・管理」など導入後の運用面だ。業務部門でロボットを量産してしまうと、IT部門が把握していない“野良ロボット”が生まれてしまう可能性もある。

 大日本印刷は、情報システム開発を担う子会社にロボットの開発と管理を任せている。山頭さんは「ロボットの運用や維持を考えると、業務部門では品質や生産性にばらつきが出て管理も難しい。開発部門と業務部門の距離をいかに縮めるかは工夫次第」と説明する。特に社内の基幹システムと連携する場合は、情報システム部でないと開発の難易度が高い。

 スピード重視の富士フイルムホールディングスは、開発の難易度でロボット開発を分担した。柴田さんは「基幹システムと連携する場合は情報システム子会社に任せるが、部門で閉じて行う業務は業務部門に任せている。現場の担当者に基礎的なトレーニングを行うなど、一定レベルの開発ができるサポート環境は用意している」と補足する。

 両社とも、ロボットの徹底した管理や安定的な運用ができる体制作りを繰り返し強調した。RPAは作って終わりではなく、導入してからが本番といえるだろう。

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