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ヤフー、PayPayを新ビジネス創出にも活用 狙いは販促市場の取り込み

» 2019年02月05日 07時38分 公開
[村田朱梨ITmedia]

 「オンラインのヤフー、オフラインのPayPayを生かしてサービスを大きくしていきたい」――ヤフーの川邊健太郎社長は2月4日、同社の決算説明会でこう話した。検索やメディア、Eコマースといったオンラインのサービスに、実店舗で使うモバイル決済サービス「PayPay」を掛け合わせた新しいビジネスを創出して収益化を図る方針だ。

photo 決算説明会の様子
photo ヤフーが目指すオンラインとオフラインの掛け合わせ

 PayPayは、ヤフーとソフトバンクが共同設立したPayPay社が提供するモバイル決済サービス。他社に比べて後発だが、2018年12月に実施した大規模な還元キャンペーンで一気に知名度が向上。サービス開始から4カ月で累計登録者数は400万人を突破し、還元キャンペーンでは利用者に計115億円相当のPayPayボーナスを還元した。

photo キャンペーン効果で登録者数が急増

 川邊社長は、Webサービスと実店舗向けサービスを掛け合わせたビジネスの1つとして、ユーザーが商品を認知、検索するといった消費の入口から、購入やリピート購入するゴールまでを一貫して計測できるマーケティングサービスを今後開発し、企業向けに提供する。

 PayPayで得た利用データを通じて、店に足を運ぶ消費者の動きも見据えることで「広告市場の倍以上ある販促市場を取り込み、2023年度に(広告市場と合わせて)5000億円の売り上げを作りたい」(川邊社長)と話す。

photo 認知から購入まで一貫して効果を計測する「統合マーケティングソリューション」
photo 2023年度に5000億円を目指す

PayPayはユーザーの継続利用促進へ

 PayPayの新施策として、2月12日から2度目の「100億円キャンペーン」を実施する。1回の還元額や1人あたりの還元総額を前回よりも低く設定することで、キャンペーンを長期間実施してユーザーにPayPayの継続的な利用を促す。「今回の狙いは繰り返し使ってもらうこと。少額のお得な買い物が何回もできる」(川邊社長)

photo 第2弾キャンペーンの概要

 前回のキャンペーン中に指摘が相次いだクレジットカードの不正利用問題など、セキュリティ面の課題については「解決済み」(同社)

 PayPay社は「当社からクレジットカード情報などが流出した事実はない」と発表していたが、18年12月中頃にクレジットカード登録時のセキュリティコードの入力回数を制限し、19年1月には本人認証サービス「3Dセキュア」を導入。クレジットカードの決済金額にも制限を設けるなど、対策を強化してきた。

photo セキュリティ対策について

 不正利用問題について、川邊社長は改めて「不正利用の大半は、すでに盗用されていたカード情報の悪用だった」と説明。「われわれにも至らないところがあったと反省している」とする一方、「いずれ改善しなければならなかった問題を浮き彫りにできたのは、ある意味で成果といえるのでは」とコメントした。

 今後も技術的な対策を進める他、第2弾キャンペーン実施中はユーザーにクレジットカード情報の管理やフィッシングサイトに関する注意喚起を行うことで、不正利用撲滅を目指す。

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