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» 2019年02月08日 10時00分 公開

特集・RPAで仕事が変わる:「失敗しないRPA」のススメ 導入・運用で注意すべきポイントは? (1/6)

多くの企業が注目している「RPA」を導入・運用する際に注意すべきことは? 大きな失敗をしないために押さえておくべきポイントを解説。

[小林啓倫,ITmedia]

 「100を超える業務にRPAを導入」「年間数万時間に相当する業務を自動化」「数千人分の業務をRPAに置き換えることに成功」――ネットを少し検索するだけで、RPA(ロボットによる業務の自動化)に関する威勢のいいニュースがいくつも飛び込んでくる。RPA導入を進めている企業の中には知名度の高い大企業も多く、ビジネスで大きな注目を集めるのも当然だろう。

 一方で、安易なRPA導入に警鐘を鳴らす記事も目にするようになってきた。「期待ほどの効果が出ない」「意外にコストがかかる」といった声のほか、IT部門がロボットの存在を把握しきれていない、いわゆる“野良RPA”(野良ロボット)が多発してしまう、といった声も上がっている。RPA活用の成否は、どこで分かれてくるのだろうか?

 本記事ではRPAを導入・運用する際の主な注意点について、プロジェクトを6段階に分けて整理した。その6つとは、(1)目標設定、(2)組織づくり、(3)業務選定、(4)製品選定、(5)開発、(6)運用である。順に見ていこう。

その1: 何より優先すべき「目標設定」

 どんなシステム開発やアプリケーション導入も目標の設定から始まるが、RPAも例外ではない。特にRPAの場合、「何ができるのか」「導入後にどのような状態が実現されるのか」が明確にならないまま、期待や不安だけが高まるというケースがよく見られる。その結果、RPAがAI(人工知能)のように高度な処理も行えるものと勘違いされ、お披露目の席で社内から「え、これだけ?」という反応をされてしまったり、ロボットが人の仕事を奪う(人員削減)ものと勘違いされ、現場の協力が得られなかったりする恐れがある。

 もちろん高度な処理を行うRPAを実現したり、人員削減のためにRPAを導入したりするケースもあるが、周囲との認識のずれが起きないよう注意が必要だ。

 また一口にRPAといっても、その使われ方は幅広い。業務の実務担当者が使うExcelやAccessのようなアプリケーションという位置付けで導入される場合もあれば、比較的大きな仕組みを実現するための、パッケージソフトウェアに近いシステムとして利用される場合もある。自社ではどのようなRPA活用を目指すのか明確にしておかないと、後でちぐはぐな対応をしてしまうことになる。

 もう少し詳しく説明しておこう。下図は社内に存在する全ての業務を集め、それを業務量順に並べたグラフだと思って欲しい。つまり左側にあればあるほど、それ単体で負荷の高い業務ということになる。

RPA 図1 RPAをどこに適用するか(筆者作成)

 図のAで示された領域は、従来システム開発で対応してきた。「これだけ負荷が高い業務であれば、多額の投資をしてでも新たなシステムを構築すべき」というわけである。A領域にある業務は既に何らかのシステム対応がなされていることが多いのだが、それでもさまざまな理由から手が付けられていない場合がある。そこにRPAを適用して、一気に業務効率化の効果を得ようという企業も珍しくない。

 しかし多くの企業がターゲットとし、また専門家の間でもRPA適用の有力候補として認識されているのが、図にあるBの領域だ。多くの従業員が毎月一定時間を費やしている定型業務(経費精算など)があるが、システム開発にかかる費用と時間、かき集めなければならない人材を考えれば、人件費をかけた方が安上がりだと判断されるケースである。

 この場合、「数件の業務をRPA化しただけで年間数万時間の効率化に」などといったホームランを目指すのは難しくなるが、比較的少ない業務をRPA化するだけで「現場が実感できる」効果を出しやすい。とはいうものの、そんな都合の良い業務もそうそう眠っているものではないだろう。

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