ITmedia NEWS >
RPAで仕事が変わる ロボットと始める働き方改革

「失敗しないRPA」のススメ 導入・運用で注意すべきポイントは?特集・RPAで仕事が変わる(4/6 ページ)

» 2019年02月08日 10時00分 公開
[小林啓倫ITmedia]

 もちろん、1つの製品に絞る必要はない。前述のように、全社プロジェクトとして大規模なRPA化を進めつつ、部門の判断で独自のRPA製品を導入する場合もある。

 実行されるタイミングや順序が決まっているロボット群を活用する場面では、そういったスケジューリングやワークフロー化が得意な製品を導入するのも手だ。一方で、従業員が必要だと判断したタイミングで動き、環境変化に応じてある程度柔軟に現場で設定内容を変更しなければならない場面では、一般のユーザーでも扱いやすい製品を導入するのがいいだろう。

 要はRPAの特性や性能を見極めた上で、適材適所の製品選定が求められるのだ。

 とはいえ、それも「言うは易く行うは難し」といったところだろう。各RPAベンダーが自社製品のPRを過熱させる中、どれが自社のRPA化候補業務に適した製品かを見極めるのは難しい。ある程度の手戻りが発生するのは承知の上で、業務選定と製品選定を並行して進めていく覚悟が必要だろう。

RPA

 またRPA製品の中には、特定の業界に採用されてきた経験から、そうした業界との親和性が高くなるように機能を発展させているものがある。また導入実績が多い製品だと、開発をサポートする外部のエンジニアやコンサルの中で、一定の知見や過去に開発した部品を持っている場合がある。導入時に外部企業を頼る場合には、彼らの経験も含めて自社の業界や業務に強みを持っているか確認すると良いだろう。

 さらに心に留めておきたいのが、他社製品への乗り換えが難しくなる「ベンダーロックイン」の可能性だ。RPA製品はさまざまな仕組みで対象システムを操作しており、その内容は一律ではない。現状では、あるRPA製品で開発したロボットを他のRPAに移植することはできないと考えておいた方が良いだろう(もちろん要件定義書など、ソフトウェアに依存しない資産は活用できるが)。

 ライセンスの料金を月次で払わなければならない製品の場合、たとえその製品に不満が出ても、簡単には乗り換えられずライセンス料を払い続けなければならない。

 これを防ぐことは難しいが、再設定時の作業をできる限り抑えるために、開発時に関連ドキュメントをなるべく詳細に作っておくのは有効だ。また採用しようとしている製品のベンダーが、将来どのような開発ビジョンを持っているのかチェックしておくべきだろう。例えばベンダーの中には、自社製品のAI対応を明確に打ち出すところもある。

その5: RPA開発は「その後」を考えよう

 業務と製品の選定が終わったら、いよいよ開発だ。開発を誰がどのように進めるべきかは、RPAを推進する組織の在り方、導入したRPA製品の性質に大きく依存するため、一概にコメントできない。

 ただ一般論として、RPAの導入を通常のシステム開発と同じものと考えて対応を進めた方が無難だ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.