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» 2019年02月28日 07時00分 公開

これからのAIの話をしよう(AIベンチャー対談編):「大企業は時間を奪っている意識がない」 AIベンチャーが本音で激論、“丸投げ依頼”の次なる課題 (2/4)

[松本健太郎,ITmedia]
田中さん 田中さん

 大体は「おたくは何ができるの?」という上から目線で話しかけてくる。こちらが「何をやりたいのか」と開発の目的を尋ねると「そんなことは分からない。君たちはベンチャーでしょ?」と返されて会話になりませんでした。

 それがようやく2018年ごろに落ち着いたかなと。AI導入を考えている企業向けにセミナーを開催しても、まともに話を聞いてもらえるようになりました。いまやっているセミナーを16年にやっても世間との情報にズレがあるので「その情報は間違っている」と言われていたと思います。

マスクド 現実的な問い合わせが増えてきましたよね。「この工場の、この工程の、こんな作業をAIで自動化できないか」というような問い合わせになってきています。

―― AIへの過度な期待や幻想が消えて、18年ごろからは依頼する企業の問い合わせ内容も現実的かつ具体的になってきたのですね。

マスクド AIベンダーに丸投げして「あとはよろしく」の路線がだいぶ減って、ちゃんとした企画が残りましたね。大まかな方向性や何をしたいかという目的がはっきりした状態で、弊社にお声がけいただくことが増えました。

田中 でも、大企業も中小企業もまだまだ人工知能を誤解していますね。データの本質をつかんでいないし、普通のシステム開発のように作れば終わりだと思っている。AIはモデルを作ってからが始まりで、新たなデータが生まれる度にそれに合わせてモデルを作り直して精度を上げていくのです。

マスクド 大企業でいえば、全てを自分たちの都合で済ませようとする会社は評判が悪いですね。人が集まっていろいろ話すんですけど「どうですか」と聞いても「まだ検討中です」だけで何一つ前に進まない。人の時間を奪うことに対して意識があまりに低すぎます。

田中 大企業と僕らベンチャーでは「時間」に対する意識が違うんです。大企業は簡単なミーティングでも3〜4人ほど出てきますが、ベンチャーにはそんな時間がない。だから「とりあえず来てくれ」と言う昔ながらの企業は相手にしません。

マスクド 昔ながらの大企業は、なぜか対面を重視するじゃないですか。打ち合わせだけならテレビ会議でいいのに、「うちはセキュリティの都合でテレビ会議はダメです」と言われる。交通費も掛かるし遠方に足を運ぶのは厳しいです。

田中 うちはSkypeで済むようなところをわざわざ出向きません。日本では1回対面で会ったらその後はSkypeでもOKみたいな変なルールがありますよね? アメリカに10年ぐらいいたんですけど、いまだに日本はそういう慣習に引きずられているなと。

「AI開発で一発OKはない」「失敗におびえすぎ」

―― “古い体質”が残る企業とAIベンチャー間の温度差がよく分かりました。依頼する企業側には「時間を奪っている」という意識を持ってほしいということですね。そうした昔ながらの企業は、どのようにAI開発を進めればよいのでしょうか。

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