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» 2019年03月09日 07時00分 公開

架空世界で「認証」を知る:ジャック・バウアーは暴走しすぎ? 海外ドラマ「24」にみる政府機関のハッキング (1/3)

小説、漫画、アニメ、映画などの架空世界に登場する「認証的なモノ」を取り上げて解説する連載をITmediaで出張掲載。第11回のテーマは架空世界の「政府機関によるハッキング」について。

[朽木海,ITmedia]

この記事は認証セキュリティ情報サイト「せぐなべ」に掲載された「架空世界 認証セキュリティセミナー 第12回『政府機関によるハッキング【24 -TWENTY FOUR-】」(2017年12月28日掲載)を、ITmedia NEWS編集部で一部編集し、転載したものです。当時未発売だった製品やサービスの記述などは、本記事掲載時の状況に合わせて編集しています。

政府機関による個人への介入はあるのか?

 ……それでは講義を始める。

 前回は「勇者王ガオガイガー」を題材に、政府による認可と認証について解説した。実際のセキュリティの運用とは別に、政治による意向などが勘案されることも現実では珍しくない。

 まあ、ガオガイガーではほとんど何でも承認されていたのだが、政治による意向という部分に思うところがある読者も多かったのではなかろうか。

 さて、今回題材にあげるのはアメリカのドラマ「24 -TWENTY FOUR-」。フジテレビ系列でも放送され、現在の外国ドラマブームの先駆けとなったドラマだ。

 今回の切り口は「政府機関による個人認証への介入はあるのか?」という話だ。権力に対抗するための認証という存在についても解説していこう。

「大統領候補暗殺まで、あと24時間」

 まずは基本データから紹介しよう。「24 -TWENTY FOUR-」は2001年にアメリカで放送が開始されたテレビドラマ。

 複数の出来事がリアルタイムで進行し、非常にテンポが早く、かつ複雑に進行するのが特徴で、画面に複数のシーンを分割して表示する演出が新機軸であった。

 これまで本編はシーズン8まで制作されているが、今回取り上げるのはシーズン1だ。日本では2003年にレンタルビデオ版が好評を博し、2004年にはフジテレビ系列の深夜帯で放送され、爆発的にヒットした。

 カリフォルニア州での大統領予備選挙当日。アメリカ初の黒人大統領候補、デイビッド・パーマー議員が今後24時間以内に暗殺されるという情報が入った。これを受け、米国の秘密情報機関「CTU(Counter Terrorist Unit:テロ対策ユニット)」が動き出す。その際、主人公のジャック・バウアーは、上司のリチャード・ウォルシュにCTU内の内通者捜査の極秘指令を受ける。

 一方、ジャックの娘のキンバリー(キム)・バウアーは両親に内緒で夜遊びに出掛けるが、パーマー議員暗殺グループに誘拐されてしまう。また、娘を探していた妻のテリー・バウアーもまた、パーマー議員暗殺グループに捕まってしまう。ジャックはこの事件を24時間以内に全て解決できるのか……?

 今回、ハッキングの主体となる政府機関側として取り上げるのは、このCTUという組織だ。1993年の世界貿易センター爆破事件の後にCIA内に結成されたとされる架空の組織で、文字通りさまざまなテロ対策に奔走する。ただ、法を無視した逸脱行動を取ることも多いとされる問題組織でもあるのだ。まあ、主にジャックのせいなのだが……。

キムのiBookのパスワードをハッキング。その方法は?

 ジャックの逸脱行動は序盤から行われている。パーマー議員暗殺計画への対応で多忙を極めているCTU内。一方、キムが夜遊びに行っていることを心配するジャックは、キムがどこへ行ったのかを探そうとする。どうやら遊び友達とメールで連絡を取り合ったようなのだが、そのメールを受信したiBookにはパスワードがかけられており、読むことができない。

 そこで、ジャックは一計を案じる。CTUの職員にある電話番号を教えて「緊急だからこの番号のパスワードを教えてくれないか」と頼むのだ。もちろん本来はルール違反なのだが、パーマー議員暗殺計画に関係があると思ったのか、職員はそれを実行し、キムのiBookのパスワードを解読してしまう……。

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