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CP+ 2019の注目レンズレポート! サードパーティー「MFレンズ」が群雄割拠CP+ 2019(1/2 ページ)

» 2019年03月09日 08時00分 公開
[林佑樹ITmedia]

 国内最大のカメラ見本市「CP+ 2019」は、カメラボディはもちろんのこと、レンズや周辺機器もまとめてチェックできるのが魅力的だ。本記事ではサードーパーティー製レンズを中心に、CP+ 2019で見かけた注目レンズたちをチェックしていく。

 まずCP+ 2019の全体的な動向としては、キヤノンとニコン、パナソニックのフルサイズミラーレスが登場した直後であることから、これらフルサイズミラーレス群に対応するレンズを多く見かけた。

 独ライカ、パナソニック、シグマ3社のLマウントアライアンスに関してはマウントアダプターがしばらく登場しなさそうな雰囲気。

 意外と展示数が多いのが、マニュアルフォーカス(MF)レンズだ。ミラーレスが採用している電子ビューファインダーの場合、拡大表示できるため、視力に関係なく光学ビューファインダーよりもフォーカスを追い込みやすい。

 また高感度ISO性能の向上に伴い、昔に比べて暗所でも絞っていける。オートフォーカスを駆動するアクチュエータを考えなくてもいい分、価格を抑えながら描写を重視できる。このようにカメラボディ側の進化や、価格と描写のバランスなどが、新規開発のMFレンズに注目が集まる理由だ。

 「軽量高解像」というMFレンズのイメージからかけ離れた、マニュアルフォーカスのニコンZマウントレンズ「NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noct」は別として。

シグマブースでは、Lマウント対応レンズは現時点で78本あることをアピール
シグマ純正マウントアダプター「MC-21」経由で、同社のEFマウントレンズやSAマウントレンズもLマウントで利用できるようになる

コシナ Eマウントのフルサイズ対応レンズを拡充

 まずはコシナから見ていこう。Eマウントのフルサイズ対応レンズ拡充を重点的に進めており、参考出展として「NOKTON 21mm F1.4 Aspherical E-mount」があった。発売は年内予定で、価格は「これまでのシリーズに近しいもの」(展示担当者)になる見込みとのこと。

 同社の同じ焦点距離のレンズ「COLOR-SKOPAR 21mm F3.5 Aspherical E-mount」と比べると大型だが、Eマウントレンズとしては十分にコンパクトだ。また開放からの描写傾向も優れるとしており、風景だけでなく、ポートレートシーンでも注目されそうだ。

「NOKTON 21mm F1.4 Aspherical E-mount」
左が筆者私物の「COLOR-SKOPAR 21mm F3.5」、右がNOKTON 21mm F1.4 Aspherical
NOKTON 21mm F1.4 Asphericalでコシナブースを撮影してみたもの。もちろん参考出展品のため、製品版とは異なる可能性がある点を留意してほしいが、この時点で大変よい描写である(21mm 1/50秒 F8.0 EV+0.3 ISO1600 ボディ:ソニーα7R III)
モデルの北見えりさんがレンズ描写のベンチマークにほどよい色合いの服装でいたので撮影をお願いした。(21mm 1/400秒 F1.8 EV+0.7 ISO1600 ボディ:ソニーα7R III)
北見えりさんを寄って撮影。ボケも扱いやすい印象。(21mm 1/50秒 F2.2 EV+0.7 ISO250 ボディ:ソニーα7R III)

 ライカMマウント互換のVMマウントレンズは「NOKTON Vintage Line 75mm F1.5 Aspherical VM」が展示されていた。これも年内発売予定。

「NOKTON Vintage Line 75mm F1.5 Aspherical VM」
4月発売の「NOKTION 50mm F1.2 Aspherical E-mount」の展示も
前玉を見ると「NOKTION 40mm F1.2 Aspherical E-mount」との見分けはつくが、側面からは識別困難なくらい似ている

 VMマウントレンズを他のミラーレスで使えるようにするマウントアダプターも6種類展示されていた。6種類の内訳は、「フォクトレンダー VM-RF Adapter」「フォクトレンダー VM-RF Close Focus Adapter」「フォクトレンダー VM-X Close Focus Adapter」「フォクトレンダー VM-Z Adapter」「フォクトレンダー VM-Z Close Focus Adapter」。

 上記はVMマウントレンズをキヤノンRFマウント、富士フイルムXマウント、ニコンZマウントに対応させるもので、「Close Focus Adapter」とあるものは、ヘリコイド内蔵で焦点距離を以前よりも短くできるというもの。また「フォクトレンダー E-Z Adapter」は展示のみだったが、EマウントレンズをZマウントで使用可能にするもの。Zマウントの民で、「MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Aspherical」が気になる人に問答無用で突き刺さる製品といえる。電子接点ナシが検討要素になるくらいだろうか。

LAOWA 細長いマクロレンズで我が道を行く

 次は中国LAOWAだ。ニッチな路線を全力で突き進む印象が強いのだが、広角を中心に用意されているレンズは、いずれもかゆいところに手が届く。

 今回、中でも注目を集めていたのが「LAOWA 24mm F14 2× MACRO PROBE」だ。鏡筒直径38ミリ×長さ408ミリの強烈な見た目だが、LEDライト、防水機能付きと、水中や配管内など撮影が困難なシーンに特化している。EFマウント/Fマウント/FEマウント/Kマウント対応版が発売済みとなっているので、気になったら量販などの店頭で試すこともできる。

「LAOWA 24mm F14 2× MACRO PROBE」 何よりビジュアルが強烈
中腹部までは防水仕様
付属のケーブルで調光可能。電源はモバイルバッテリーになる
先端部のLEDライトを点灯させた状態
F14〜40までに対応する
花瓶の中で撮影してみたもの。手持ちではさすがに辛い(24mm 1/50秒 ISO2500 ボディ:ソニーα7R III)
手持ちで周辺を撮影してみたら意外と行けたが、慣れるまで時間がかかりそう(24mm 1/4秒 ISO2500 ボディ:ソニーα7R III)
2018年末に発売した「LAOWA 10-18mm F4.5-5.6 FE Zoom」の展示も。小さく軽量で、フットワークが阻害されない点がいい。少しフレアが生じやすいところがネックなくらい

Irix 筐体材質で価格に差

 Irixはスイスのレンズメーカー。CP+を含め、国内展示会でなかなかブースを見かけない。そんなIrixのレンズをハンズオンできたのは結構レアだったかもしれない。「Irix 15mm f/2.4」「Irix 11mm f/4」「Irix 150mm f/2.8 Macro 1:1」の3本が用意されており、中でもIrix 150mm f/2.8 Macro 1:1は新製品ということもあって、試用している人が目立った。

 ちなみに、11mmと15mmには筐体をプラスチック系にして価格を下げた「Firefly」シリーズと、金属採用の「Blackstone」の2モデルがある。

Irix 15mm f/2.4。左がBlackstone、右がFirefly 光の反射を見ても鏡筒の材質が違うことが分かる
Irix 11mm f/4
歪みは控えめであるし、線もほどよくシャープだ。(11mm 1/100秒 F4.0 ISO1600 EV-0.7 ボディ:ソニーα7R III)
Irix 150mm f/2.8 Macro 1:1
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