TSUTAYAは3月19日、サブスクリプション型サービス「TSUTAYAプレミアム」のサービスを拡充すると発表した。TSUTAYAプレミアムといえば、昨年5月に景品表示法違反(優良誤認)で消費者庁が再発防止を求める措置命令を出し、今年2月には課徴金を支払ったことも記憶に新しい。あれから約1年でどのように変わったのか。その対策と今回の発表について、担当者に詳しい話を聞いた。
消費者庁の報道資料によると、TSUTAYAは自社のWebサイトやYouTubeの公式チャンネル上で、「TSUTAYAプレミアム」などのサービスを契約すれば、TSUTAYA TVで配信する動画が条件なく見放題になるかのように表示していたが、実際に見放題になるのは配信作品のうち最大でも27%程度だったという。TSUTAYA TVの場合、見放題になっているのは旧作で、準新作と新作は都度レンタル。会員になるともらえる1000円分のチケットを使えば視聴できたが、見放題コンテンツと混同しそうなバナー表示などが問題視された。注意書きはあったものの、文字が小さかったのも反省点だ。
「誤解を与える表示があり、お叱りを受けました。措置命令を受け、すぐにサイト上の表示などを変更し、店頭で旧作と新作のコーナーを分けているように動画配信でも見放題なのか都度課金なのかを明記しました。見放題の対象コンテンツは、すぐに分かるようにマークを付けることを徹底しています」(山内氏)
社内でも運営のスピードより表記などの正確さを重視することに方針転換し、全ての店頭表示やバナーなどのチェック体制を強化。eラーニングなどを活用して社員の教育と習熟度テストを実施するなど再発防止に向けて対策を講じてきたとしている。
同時に進めたのが、利用者メリットの拡大だ。利用者の視聴動向を分析し、見放題コンテンツをアニメや韓流、洋画を中心に増やした。消費者庁の調査が入った17年12月時点では約8000タイトルだったが、現在は約1万3000タイトルまで増えている(19年1月末時点)。アニメは30代、40代の男女、韓流などアジア圏のコンテンツは50代の女性を中心に人気だという。
18年12月には、TSUTAYA TVの利用方法や見られるコンテンツをまとめた「TSUTAYAプレミアム動画配信BOOK」という無料の冊子を作成し、店頭で35万部ほど配布した。高齢の利用者など、店頭のDVDレンタルが中心だったユーザーに好評で、店舗スタッフが説明に割く時間も減らすことができた。「それまではTSUTAYAプレミアムに加入しても店頭だけ(DVDレンタル)の方も少なからずいましたが、ネットの利用が増えました」(山内氏)
事実、動画配信の利用件数は措置命令が出たときに一時的に減少したものの、翌月にはアップトレンドに回復。TSUTAYAプレミアム自体の会員数も「実数は公開していませんが、2年連続で前年比200%以上という伸びを記録しています」としている。
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