乗り換え案内サービスを手掛けるジョルダンは3月26日、国内の電車やバスの乗車券、観光施設の入場券、食事券、宿泊券など多様なチケットを、同社のアプリ「乗換案内」上で購入できるサービスを始めると発表した。
MaaS(Mobility as a Service、サービスとしての移動)の概念に基づいた施策。2020年東京五輪・パラリンピック(以下、東京五輪)が近づき、訪日外国人のさらなる増加が見込まれることを踏まえ、国内の観光・移動の利便性を高めるのが狙いだ。
サービス開始予定は5月。ただ現在は複数の交通事業者や自治体と交渉している段階といい、具体的な事業者名や、間に合うか否かについて上層部は明らかにしなかった。
新サービスの強みは、行きたい観光地を検索し、交通機関、レストラン、ホテルなどの予約・決済をワンストップで完了できる簡便さ。決済方法はクレジットカードなど複数から選べるようにする。
支払い後は(1)駅員が目視で確認するタイプのチケット、(2)QRコード方式の電子チケット――のいずれかをアプリ上に表示させることが可能。
後者は加盟法人・自治体に配った専用の読み取り機にかざすことで認証する仕組みで、ユーザーだけでなく法人・自治体にとっても、チケット電子化によって管理や精算の手間を減らせる、アプリのプッシュ通知を用いたPRが可能になるといったメリットがあるとしている。
電子チケットの作成と認証には、ジョルダンが1月から提携しているモバイルチケットサービス企業・英Masabiのシステムを活用する。
Masabiは米ニューヨークの地下鉄に、QRコード方式の電子チケットを導入するなどの実績を持つ。日本国内の交通事業者では現在、「Suica」「PASMO」といった交通系電子マネーで運賃を支払う方式が一般的で、QRコード方式は浸透していないが、ジョルダンは既存の決済方法と両立する形での普及を目指すとしている。
ジョルダンの佐藤俊和社長は「世界では今、移動の全てをスマホで完結させる動きが始まっている。ICT(情報通信技術)の先進都市である中国・深センでは、あらゆる改札がQRコードに対応している」と説き、日本の交通機関もQRコードに対応すべきだと主張する。
同社戦略企画部の佐藤博志部長も「東京五輪が近づいている現在も、駅の窓口には切符を買うために多くのお客が並んでいる。駅員が多言語を話せるわけでもない。このままでいいのか」と危機感をあらわにし、モバイル端末でのシームレスな予約・決済の重要性を説いた。
ジョルダンは2018年7月に、公共交通機関やレンタカー、タクシーなどの手段を組み合わせた移動サービスの構築・提供を目指す子会社「J MaaS」(東京都新宿区)を設立するなど、MaaSの実現に注力している。
今回の施策が成功した場合、予約・決済などの仕組みをオープンプラットフォーム化し、J MaaS経由で他の乗り換えアプリ事業者に共有する計画もあるという。
ジョルダンの結川昌憲執行役員は「(今回の施策によって社会を変革することで)GAFAのような存在になりたい」と意気込んだ。
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