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» 2019年03月27日 10時00分 公開

技適マーク、IoT対応緩和へ 技適なし最新端末が日本で使えるように(後編)(3/3 ページ)

[山崎潤一郎,ITmedia]
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技適マークの有無の確認はユーザーの義務

 実は、表記を義務化しているのは、技適の成り立ちに関係している。電波法において「無線局を開設しようとする者は、総務大臣の許可を受けなければならない」と規定されている。「無線局」と聞くと仰々しい設備を想像するが、法的には、電波を発するものは、一部例外を除き基本的に無線局(機器類とそれを操作する人間)と定義される。つまり、あなたが使うBluetoothやWi-Fi端末、携帯電話などもすべて「無線局」なのだ。

 ただ、携帯電話のような万人が利用する「無線局」の運用にまで、個別に無線免許の取得を義務化するわけにはいかない。社会的な混乱を招くだろう。そこで、1981年に導入された技術基準適合証明制度により、技適を取得した端末であれば、個別の免許を持たなくても無線局の運用が可能になった。参考までに記すると、その前々年の1979年12月から電電公社(現NTT)により民間向けの自動車電話サービスが始まっている。

 技適制度のおかげで、免許を意識することなく無線機器を使用することが可能になったとはいえ、健全な電波環境維持の観点から、無線機器を使用する人はその無線機器が電波法(技適)のルールを満たしたものであるかどうかを見極める手段が必要になる。その手段が技適マークの表記というわけだ。厳密に考えると、新しくスマートフォンを購入した場合、何人も運用を開始する前に技適マークの有無を確認する作業が課せられているとも言える。

 現実的な話として、キャリアの代理店や家電量販店などで取り扱っているスマートフォンの技適の有無を確認する必要性などはないだろうが、海外製のSIMフリーのスマートフォンの中には、技適未取得のものもある。そのような端末を購入した場合は、技適マークの有無を確認した上で運用を行うのが利用者としての責務なのだ。

技適未取得端末使用でメーカーや販売者が処罰の対象にならない理由

 もし、技適未取得端末を使用し、電波法違反の恐れありと判断された場合、「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」の対象となる可能性がある。ここで素朴な疑問だ。法的に見ると、処罰の対象となるのは、端末の販売者やメーカーではなく、使用した者となる。技適という制度に対しなんら知識を持ちあわせていな大多数の一般人に確認義務を課すより、販売店やメーカーなど端末の流通段階で「関所」となるような仕組みや制度を設ければ、そちらの方が「電波環境の維持」という部分で、はるかに現実的であるように思うのだ。

 そうなっていないのは、電波法が制定された当時の考え方がそのまま残っているからだ。かつては、無線局は、免許を持つ人が自分の責任の下で電波法に則して開局するものであった。その考え方が残されたまま、技適制度が導入され、前述のように利用者にマークの確認義務が課された。

 そうなると、マークの確認の義務を怠った、つまり技適未取得の端末を使用したものが処罰の対象になる、というロジックに至るわけだ。このように、技適未取得端末を使用した者が処罰の対象になるという電波法の規定は、歴史的な経緯がそうさせたものであることがわかる。

 流通段階での規制が存在しないわけではない。電波法には、基準に不適合な端末の流通が発覚したり問題を引き起こした場合にメーカー、輸入・販売事業者に対し措置命令や勧告を行える規定もある。ただ、懲役と罰金が規定されている使用者における処分との非対称性に、どこか釈然としない感覚が魚の小骨のように残る。

 とはいえ、流通段階での規制についての議論は存在する。電波法改正を話し合ってきた「電波有効利用成長戦略懇談会」の報告書には「免許不要局による混信を効果的に抑止できない場合は、米国や欧州において導入されているような流通規制を導入することについて検討する必要あり」(要約)と明記されている。無線機の利用形態や技術の進化に対応する形で技適も少しずつではあるが、進化しているということだ。

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